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アルハンブラ宮殿Ⅴ~パラドール~ジプシー歌集~アルハンブラ物語~アルハンブラ宮殿の想い出/タルレガ ~アランフェス協奏曲/ロドリーゴ~ダリ/ロルカ/ショスタコーヴィチ/アポリネーリ/リルケ~パラドール/国際音楽祭~オスマンの衝撃/ゴヤの光と影/アラベスクの陰翳/谷崎潤一郎/陰翳礼讃
美しきアラベスクの陰翳
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グラナダの断崖上ローマ時代の砦跡アルカサーバ
これを原型に築城を始めたのがアルハンブラのはじまり。
宮殿西側に侭面影が残りますが
さらに往時はその城壁が2kmも続き、幾つもの塔が建てられていたという
そんなアルハンブラの郷グラナダは、
スペインで最も愛されている詩人であり
”プロのアンダルシア人”とも評されるガルシア・ロルカ出身の地でもあります。
ジプシーの憂戚を詠んだロマンセ”ジプシー歌集”は
彼らのトラディショナルな精神に寄り添うように紡がれた作品です。
そしてこの詩集の扉には・・・

ーロルカの詩は、理解するのでなく感じることー

という短い文字列。


ロルカはまたダリを愛し、彼に詩集を捧げてもいました
しかし、彼のリベラルさゆえフランコ政権下に非業の死を遂げています。
ショスタコーヴィチの交響曲、第14番 ト短調 作品135は、
このロルカ、そしてフランスのアポリネール、ドイツのリルケ等からインスピレーションを受け作曲されたものでありいずれも死がテーマとなっています。
また、此処グラナダで”コロンブスの生涯と航海””グラナダ占領”などスペインの歴史小説を書き上げたアメリカの作家ワシントン・アービングがいます。
彼の著作に”アルハンブラ物語”という紀行文学があり、小さな子供に語り聞かせるようなお話のなかに宮殿に纏わる伝説が数多く綴られています。
そしてアルハンブラといえば
「近代ギター音楽の父」と言われるフランシスコ・タルレガ の”アルハンブラの思い出”(←村治佳織さん演奏動画視聴)
トレモロ奏法が雰囲気あり過ぎなほどアルハンブラ宮殿のアラベスク模様にフィットしているんですね。
優れた音楽的感性を受け取るに相応しい役者が揃いました的シチュエーション。
これほどトレモロが際立つ楽曲もそうはないのではと・・・。

宮殿内にはパラドール,
”アルハンブラ宮殿”(世界遺産)に泊まらせるという感覚
日本にはない石の文化ゆえの発想でしょうか
この”パラドール・グラナダ”は中庭ではお食事もできて
そのシンプルさゆえ嫌でも嵌りゆくものがあります。
実際、庭園内の野外音楽会場では、毎年、国際音楽祭が開催され
そのグラナダ国際音楽舞踊祭に伴い、一流の指揮者やオーケストラが集い
クラシック音楽やバレエに加えて、フラメンコも上演されています。

宮殿へのアクセスは、フェデリコ・ガルシア・ロルカ空港が至便で
マドリードやバルセロナからは空便がお勧め。
コルドバからはAVEを利用しセビリア乗り換えで、マラガからは、バス便も用意されています。

因みに(カスティーリャ地方にあって珍しく沃野な土地)アランフェスには
作曲家ホアキン・ロドリーゴの名曲”アランフェス協奏曲”(←動画視聴)が残されていますが
タホ川河畔の緑豊かなアランフェスも王宮と庭園の街
このアランフェス王宮は、スペイン建築でロココ調の内装が施されているのですが、
その王宮にアルハンブラ宮殿”二姉妹の間 ”を再現した”アラブの間”を配するほどにまで
愛されていたアルハンブラ宮殿といった現実がここにある訳です。

谷崎潤一郎がその著作”陰翳礼讃”の中で
ーー美とはひとつのものにあるのでなく、ものともとが織り成す陰翳の綾に見られる
そしてその陰翳の世界を文学の領域に呼び戻したいーー
と記していました。
日本の伝統美には他の追随を許さない独特の陰翳による美しさが在るように感じ取れます。
ですが単一民族では醸し出しようのない
光と影の文化がここスペインには確かに息衝いています。
さらにいえば Estado Español
所謂”スペイン的”なるものでスペイン生粋のものなど見当たりません
ゲルマンとラテン、クリスチャンとムスリム、ハプスブルク帝国オスマンの衝撃、繁栄と殺戮、情熱と悲哀、富貴と貧窮、ゴヤが描き出す光と影そしてアラベスクの陰翳。
そう
燦々と降り注ぐ陽光の下には必ず影が浮かび上がってくるように。
歴史に翻弄された果てしのないような時間の流れの中で、時に激しく、時に静かに熟成されてきた”蘭麝”
馨しきスペイン文化の薫り。

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テーマ:スペイン情報 - ジャンル:海外情報

【 2012/10/17 22:04 】

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