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悲劇の誕生/ギリシア神話~ソクラテス/音楽/ワーグナー/ニーチェの馬~トリノ/ポー~善悪の彼岸
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ポー河とともに歴史を刻んできたトリノ
この街のポルタ・ヌオーヴァstationから
並木道ヴィットリオ・エマヌエーレⅡ世通りを散策しながら
河岸にでました。
あの日と変わらずに
今日もアルプスの雪解け水を街に贈り続ける
ニーチェの愛したこの河は
彼の著作”善悪の彼岸”の象徴でありました。

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プロイセン生まれの哲学者ニーチェ。
若くしてバーゼル大学から招聘され、26歳で正教授。
ワーグナーの信奉者であり、処女作”悲劇の誕生”執筆時は28歳だったといいます。
二ーチェはこの著作で
ギリシア三大悲劇詩人たちの作品から”悲劇”を読み解き
ギリシア神話のアポロンに理性をディオニュソスに情動性を映し込みながら
両者が統合された劇文学(悲劇)こそ最高の芸術形態と述べています。
ソクラテス以降の主知主義に過ぎる価値観を憂い、
音楽だけが社会に隷属せずに存在の深淵から湧き出るものを表現しているとして
音楽の精神(ワーグナーの楽劇)からのアプローチで悲劇の再生は可能となると考えました。
ディオニュソス的精神はカントやバッハ、ベートーヴェンらに宿るドイツ精神に引き継がれており
また感情発露のメタファとして音楽がありそれこそが魂を救済すると結論付けています。
しかし学会からは黙殺、時に酷評されニーチェは孤立してゆきます。
その後、学者観のキリスト教基盤による西洋哲学、近代哲学から脱却すべく苦悩したニーチェ
リヒャルト・シュトラウスにシンフォニー作曲のインスピレーションを与えた主著”ツァラトゥストラはかく語りき”に続き作品”Jenseits von Gut und Böse”に彼の世界観を顕わしてから
最期の遺稿集”権力への意思”までの一貫したテーゼ。
ニーチェ独特の冴え渡ったアフォリズムに潜む息苦しさ、
カルロ・アルベルト広場に於いて意識との決別を遂げた
ニーチェをあそこまで追い込んだものとは。

”生存と世界は美的現象としてのみ是認される”社会において
音楽を聴くソクラテスの存在がいかに如何に意義深いことでしょうか。

合理論、理性論上位の社会は支配の原理をテクノロジーにおき
形而上学的、直感的、感性的なそれは徹底して排除されてきました。
結果、合理主義によるめざましい経済的発展を遂げた先進諸国。
その過度なまでの物質的富とは裏腹に
精神的拠り所を失いつつある現代人たちを目の当りし
学問的な厳密さ、その独断性に賛否あろうとも
ニーチェの哲学が今日
こんなにも新しいということは否定仕様のない事実でありましょう。

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テーマ:本の紹介 - ジャンル:学問・文化・芸術

【 2012/10/22 23:27 】

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