ギリシア神話Ⅲ~ホメロス/オデュッセイア~アイルランド/ジョイス/ユリシリーズ~善悪の彼岸/ニーチェ
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アイルランドの作家ジェイムズ・ジョイスの代表作”ユリシーズ”
その原型となった作品はホメロスの”オデュッセイア”
ユリシリーズはそのラテン名なんですね。
執筆中のジョイスが
文芸作品上でオールラウンドのキャラクターは
キリストでもファウストでもハムレットでもなく
オデュッセウスだと力説していたように
彼が文藝史上稀にみる魅力的な登場人物であったことだけは
否めないように思います。


”オデュッセイア”のなかでの
ナウシカのオデュッセウスへの愛
届かない想い
この先二度とは逢えないであろう別れの場面での言葉
を引いて
ニーチェは、自著”善悪の彼岸”の中で
ーー人生を終える時にひとは、
オデュセウスがナウシカと決別したように
別れるべきだ。
恋々とするよりはむしろ祝意のうちにーー
と記していました。

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こうしたときに
できるならば
穏やかに
そして凛として
在りたいと思います・・。




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【 2012/11/29 22:49 】

| 文学~小説/詩/名言 | コメント(9) | トラックバック(0) |
ギリシア神話Ⅱ~ホメロス/叙事詩/オデュッセイア/オデュッセウス~啓蒙の弁証法
ギリシア神話の英雄であり
ホメロスの叙事詩”オデュッセイア”の主人公オデュッセウス。
イタカの領主であり、妻はペネロペ、息子はテレマコス。
トロイア遠征期、武力、腕力で戦う時代に
”智将”であったオデュッセウスは
かのトロイの木馬を策謀しアカイア勢を勝利に導いたことでも
知られています。

121123.jpg

オデュッセウスはトロイアでの勝利の後
ある事件から大洋の覇者ポセイドンの逆鱗に触れ
多事多難、波乱の運命に翻弄されることとなります。
セイレーンの歌声、スキラの牙、カリブディスの渦など様々な困難を
持ち前の智慧と機知で乗り切り乍、スケリア島に漂着します。
そしてこの島で
清らかで美しい王女ナウシカと邂逅するんですね。
純粋無垢な彼女の直向きな献身あってこそ
オデュッセウスは故郷イタカの地へと戻ることができたのです。
夫が長期不在となった留守宅を守り続けた妻ペネロペは
多くの猛者から求愛を受けながらもその一切を躱し
満身創痍で帰還した夫を暖かく迎え入れます。
その後
オデュッセウスは遠征の間に荒らされた領土を平定
此処で初めて
試練の連続であったオデュッセウスに
漸くの安息が訪れた・・・
というのが大まかなプロットです。


この物語で印象的なエピソードが
オデュッセウスと彼の命を救った若き姫
ナウシカとの悲恋です。

ーーどうかイタカの国へ帰られても
いつかまた私のことを思い出して下さいねーー

けなげなナウシカからオデュッセウスへの別れの言葉です。
深い想いと哀しみを秘めたメッセージに
知将オデュッセウスは次のように答えました。

ーー心広きアルキノオス王の王女
もしゼウス神が、私に故国の土を踏むこと許して下さるなら
私はいつまでも渝ることなくあなたを崇め続けます
命を救ってくれたこの恩は生涯忘れませんーー

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※こうしたオデュッセウスの貴種流離譚(映画様に言えばRoad movieとも)
”彼の知力で乗り越える長い困難の旅路”は
”オデュッセイ、オデュッセイア”という修辞で表現され
理性、巧智の代名詞のようにも使われてきました。
また一方では、啓蒙的にも扱われるので
(ホルクハイマーとアドルノの共著)”啓蒙の弁証法”でも検証されています。
確かに
英邁怜悧に過ぎることは
時に利己的に映ることもあるでしょう
大切なのはその言動の奥に
どれほどの思量があるかという処かもしれません。






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【 2012/11/27 18:12 】

| 文学~小説/詩/名言 | コメント(8) | トラックバック(0) |
ギリシア神話Ⅰ~トロイア戦争/ヘレネ~イオルゴス・セフェリス/ノーベル文学賞~エーゲ海/シーラ/サントリーニ~オデッセアス・エリティス
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ギリシア神話に於けるトロイア戦争の原因となった美女ヘレネ
その世界観への深い洞察から着想を得た優れた詩の創作
といった理由からノーベル文学賞を受賞した
ギリシャの詩人イオルゴス・セフェリス。

英国大使館を始め世界各国に駐在した
キャリア外交官であった彼は
ケンブリッジ、オックスフォード、プリンストン大学等から名誉博士号も
贈られている人物です。

セフェリスの生まれ故郷スミルナがギリシャ統治を経て
トルコに併合され彼らは故郷を失い難民生活を余儀なくされます。
その哀しみが彼をオデュッセウスへ駆り立て
スミルナにも似たキプロスへの憧憬に繋がって行ったものでしょうか。
セフェリスはここで生涯の作品の殆どを創作したといいます。
そうした中で、
権威主義に走らずPOPSにも作詞したというセフェリスの詩の素晴らしさ・・
さらに
彼の活動の隅々にまで彼の人生哲学は息衝いていました。

日本のように
純文学に対する大衆文学ですとか
クラシック音楽に対するポピュラー、 ロックといったような権勢などなく
対象を純粋に芸術として鑑賞する国ギリシャで
彼は国民的詩人として愛されました。

エーゲ海に浮かぶ島シーラ(サントリーニ)
アスポデロスの咲くペロポネソス半島に在った古代国家ミケーネ
ギリシア・ローマ神話のエリニュス達などを題材とした美しき象徴詩、セフェリス詩集

ギリシャのもうひとりのノーベル賞受賞詩人オデッセアス・エリティス
ともしばしば比較対照される彼ですが
私はセフェリスに惹かれます。


ーー大きな石を持ち上げるものは誰でも沈む
力の許す限り私は石を持ち上げる
耐えうる限り私はそれらの石を愛するーー

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多くの問題を内包する現代社会に於いても
セフェリスのこの言葉は重いです・・・。



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【 2012/11/26 17:28 】

| 文学~小説/詩/名言 | コメント(9) | トラックバック(0) |
芸術の国フランス~ルーブル美術学院~エコール・デュ・ルーヴルの教育体制~1パーセント・アーティスティック~、ルーヴル・アブダビの創設
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歴史的建造物の外観を大切にする国ということでも
印象的なフランスですが
そんなフランスには
1パーセント・アーティスティックなる法律があるようです。
この法律、フランスの国公立の学校が校舎を新築する際には
その予算の1%を現代芸術家の作品購入に充てる
という制度らしいんですね。
ルーブル、オルセー両美術館が象徴するような芸術作品の保存に留まらず
芸術家の支援体制を確立させていることに流石、芸術の国フランス☆なんて感心してみたりしていた訳ですが。
さらに
エコール・デュ・ルーヴルの教育制度を知り・・・。

このエコール・デュ・ルーヴル
訳しますと”ルーヴル美術学校”とか”ルーヴル美術学院”といった感じで
その名の通りルーブル美術館の一角にあります。

フランスの由緒あるグラン・ゼコールに属するのですが
フランスにおける、最高度の美術教育機関の一つと謂われ
パリ大学より上位にくるフランスのエリート教育機関らしいんですね。
ですが素晴らしいのはその先・・教育の実態といいますか
生涯教育含めその教育体制が凄くて・・・。
私もこの美しい建物を幾度となく通り過ぎて久しいのですが
この度、機会あってこちらのHPを初めて拝見した処から少し調べ初めまして
フランスにおける
芸術の社会的位置付けの高さを思い知らされた次第です。
因みに芸術家を目指す方たちが集うのが、
セーヌ川の対岸に在る”エコール・ド・ボザール”なんですね・・。

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いつかルーヴル・アブダビを訪れるのが夢です・・。




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【 2012/11/21 17:31 】

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東京駅/赤れんが駅舎~丸の内/丸ビル
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打ち合わせで丸の内まで。
東京駅綺麗になりましたね
随分と長い期間
いつ通っても工事中でしたから・・。
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【 2012/11/20 17:37 】

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もうひとつの愛を哲学する ―ステイタスの不安― アラン・ド・ボトン~ヒエラルキー~トルストイ/ドストエフスキー/バルザックにディケンズ/オースティン/ショーペンハウアー
The photograph of Paris
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アラン・ド・ボトンの著作”もうひとつの愛を哲学する ”は
世俗の価値意識
外的価値(富・権力・権威)に重きを置く
現代人のステータス信仰を考察した作品です。

彼は、社会の段階的組織構造の高みを目指そうとする
ステイタスの欲求をもうひとつの愛の欲求と分析します。
それは
愛するひとから愛されたいと願う愛の欲求と同様に
人は世間からも愛されたいと願っているという見解からなんですね。
そしてもしや愛されないのではないかという恐れが
ひとを高いステイタスへと駆り立てる・・・
ゆえに
(ステイタスの高さ=)贅沢の歴史は
人が愛されたいと願い傷ついたココロの記録だと総じていました。


またステイタスの傷を癒す方法にも触れています。
そこで
社会のヒエラルキー的価値観に縛られず
より人の内面的資質を優先する文学、哲学、芸術、政治、宗教
あらゆる角度から切り込んでいます。
トルストイ、ドストエフスキー
バルザックにディケンズ、オースティン
そしてショーペンハウアーらの書物に
さらにはボヘミアンの生き方や
ブッタの精神に
履歴、経歴を競う生き方、財産や家柄に絡む世俗の価値基準を否定する思想があり
賢明な知恵が息衝いていると・・。
(日本で謂えば、福沢諭吉の独立自尊の精神などもそのひとつかもしれません)

またボトンは
生命の有限性や
栄華の儚さ、
宇宙や大自然に照らしてひとのそうした苦悩の卑小さにも言及し
ステイタスの傷からの救済を説いています・・。

*********************************

世間の価値に流される愚かさ
所有主義でなくそのひと固有の魅力こそが真に大切なものであるという
物事の本質を見極めながら
社会の判断基準に惑わされることなく
信じる道を歩むしか
手だてはないのかもしれません。

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※先日機会あって翻訳ものを手にしましたが
拙訳のようで意味が取らない部分もありお勧めはできないのですが・・。

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【 2012/11/19 19:44 】

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映画LIFE IS BEAUTIFUL~哲学者アラン・ド・ボトン~スイス~英国ケンブリッジ/ロンドン大学キングスカレッジ~恋/テロリスト
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スイスに生まれ、ケンブリッジ大学で思想史を学び
ロンドン大学キングスカレッジで修士を取ったという
哲学者アラン・ド・ボトン。
そんな彼の言葉

”恋とテロリストの共通点、それはユーモア感覚の欠落”

往々にして微視的,近視眼的に過ぎ、視野狭窄状態に陥っていると
ユーモアさえ生まれる余地のない精神状態になる傾向にあるのは否めないのかもしれません
何かしらに捉われてしまったならば
対象を客観的視点でみることができなくなり
理性的な判断は難しくなります。

論理的かつ合理的というよりも
常に冷静で在ろうとすること自体は
大切なことだろうとも思うんですね。

寧ろ
逆境
崖っぷちであるからこそ
そうありたいかなって。

感情に振り回されるのでなく
思考で感情をコントロールする努力を忘れずにいたい
どんなときもできる限りは
ユーモア精神を失わずにありたいと
ずっと
思ってきていましたので
彼の言葉
響きました・・。

北イタリアに駐留してきたナチス・ドイツの暴挙における極限の状況下にも関わらず
父親が子供に夢を愛をユーモアを贈り続ける
”LIFE IS BEAUTIFUL”というイタリア映画がありましたが
こうしたスタンスを貫いた究極の作品であったように思います。

明日はボトンの”Status”について少し・・・

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【 2012/11/18 23:44 】

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甘美なる無為/dolce far nientet~スタンダール/恋愛論
      
   ー心の中の見つめるべきものー

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こちらは
フランスパリ 14区
セーヌ河左岸にあるモンパルナスでの一枚です。
ボードレール 、ボーヴォワール、サルトル 、ベケット 、ゲンスブール 、
モーパッサン、サンサーンスらが眠る場所です。


ー生命は本来、感覚で生きているものですから
生命あるのものが望むのは
感覚で生きていると自覚することではないでしょうか

たいていの精神的憂慮は
それが引き起こす感動によって
かえって快いものになる筈です。
精神に一粒の高邁さがあればこの快楽は100倍になります
優しい心には、幸福と美の崇高な幻影が生まれるからです。

イタリア人の云う ”dolce far niente”とは
甘美なる無為ですが
その深層にあるものは
カウチに横たわって自分の魂の動きを楽しむ類の快楽です
これはイギリス人、ロシア人には困難
あの人たちはカウチの上では退屈で死んでしまいます
心の中に見つめる何物もない北方の人たちには
生命力がないということです
~恋愛論/スタンダール
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※文中の英国、ロシアですが
北方にも魂の中に見つめるものがお在りになる方は
数多いらして。ここ実際の処はイタリア人の”dolce far niente”に導き出された
スタンダール独特ののメタファのひとつ
と捉えています^^

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【 2012/11/17 01:05 】

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窓/絵画~マグリット/マティス/ベール・ドロネー/アルベルテ~アポリネール~デカルト座標/方法序説
ベルギー王立美術館収蔵作品 マグリット/光の帝国
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画家というと戸外でイーゼルを立ててスケッチをしているイメージありますが
一方で部屋の中で美を構成してゆくタイプの芸術家がいます。
マチスやマグリット辺りがそうでしょうか。
こうした画家たちが屋外を描くとき
窓枠はそのまま絵画のフレーム
風景を切り取る額縁となるものでしょうか。

確かに室内に長く留まりますと
日常、易々と外出した時には得られない
外界への思い入れや
ひとつ向こう側の世界といいますか
今ここにない空気、季節、開放感への想いは募り
窓はその世界への出口であり時に入口となって
その存在は大きくなって来るのかもしれません。
また
オー・ヘンリーの最後の一葉のように
ひたすら
屋外の樹を眺め続け思考を巡らせたように
行動が制限された人間、療養生活者たちにとって
窓の先の外界は、手の届かない別次元の空間ともなるってくるようです。

病弱であったマチスは
そうした意味も含めて人の痛みに思いが至り
人に安らぎを提供する肘掛椅子のような作品に仕上げることを
テーマのひとつにしていたよう

時代を紐解けば
ルネッサンスの時代に
西洋絵画の礎ともなった”絵画論”を顕した芸術家アルベルティは
”絵画は窓である”としていました。
彼はある一点から対象を眺めた場合
それが風景或いは視界となって切り取られているという点で
絵画も窓も全く同じ役割をしていると記しています。

一方19世紀末のパリに生まれたフランス画家ロベール・ドロネー。
色彩理論家のシュヴルールに傾倒し
キュビズムのモノクローム的世界観とは対照的に
色彩豊かな作品を残したドロネーでしたが
彼はミュンヘンの青騎士展にも作品を出品しています。

カンディンスキーの著書”芸術における精神的なものについて”は
そんなドロネーに贈られたものであったようです。
ですが彼のキュビスムからの脱却は早く
その後、純粋抽象に近い作品を制作しています。
それは、フランスの詩人アポリネールにして
ギリシャ神話の音楽家オルフェウスに因み
”オルフィスム”と呼ばせた独特の絵画様式でありました。
そうした彼に”窓”の連作があります。
外界の描写でなく
あくまで”窓から見た”パリの街の風景が彼の主題でした。
色と光は極めて自立的な存在で
造形性をも強く感じさせる作品です。
1209.jpg


絵画を
視界という視点で捉えるなら
やはり”デカルト座標”
想起されます。
その名の由来となった書は
デカルトの著作”方法序説”

視覚的に与えられた三次元空間
その原点に自我があるとし
視界は自我を中心として視る三次元の世界です。
ですので
必然パースペクティブに頼らざるを得ません。
人間の能力には限界があり
視界とは、目に映るもの
それだけが全てです。
ですから
当然真に正確な空間の把握はできないんですよね。

その先にひとができることは、
主観(原点)から出発し、
その原点(視点)を移してゆくことにより
多面的に視界を捉えながら
客観的空間(認識)を推察してゆく他ないんですね。

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日常の中においても
そうした姿勢(生き方)
大切にしたいナ
なんて思っています。
【 2012/11/16 12:46 】

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ホイジンガ/中世の秋~前人未踏への挑戦/登山の意義~ジョージ・マロリー/ペトラルカ~到達不可能なものへの欲求~恋
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14,5世紀の欧州(焦点は、ネーデルランド、ブルゴーニュ辺り)
ルネサンスという視点とは一線を画し中世の精神的本質を探ろうとした作品にホイジンガの”中世の秋”がありました。
”秋”・・花は咲き終わり、樹々は色付き、実は熟して・・・
そんなメタファのもとにこの時代を
”美しい生活を求める願い”ですとか”生活の中の芸術”或いは”美の感覚”といった切り口で
その世界観を描いた作品でした。
こうしたルネサンス期独特の感覚も影響してか
本格的なalpinismはこの時代に始まったようです。
因みに測量登山(日本では映画”劒岳 点の記”で扱われていた時代20世紀初頭)がフランス王シャルル8世の命により遂行されたのもこの時代でした。
そしてレオナルド・ダ・ヴィンチは、科学的見地からヴァル・セシア郊外の雪山に登っています。
16世紀に入りスイスはチューリッヒを中心にスポーツとしての登山が盛んになって行くのですが
なぜか17世紀ヨーロッパにはその類の記録は残されておらず
18世紀後半になって漸くアルプス最高峰のモン・ブランが征服されます。
続く19世紀には、スイスアルプスの主峰は殆ど踏破されますが
いずれも英国人の偉業であり、
その後の登山技術の進歩も相俟って制覇不可能とされたマッターホルン
や4000m級の山々が次々に征服されたこの頃から
ロッククライミングや側稜といった難ルート、厳冬期の登攀、そしてカフカス、アラスカなどのより困難な山々にシフトして来たんですよね。
ジョージ・マロリーのあまりに有名な言葉”Because it is there.”
を引き出した当時の質問の主旨は
なぜ”敢えて未踏峰に登るのですか?”でした。
登山の目的
それは
誰も為し得ていないからこそ
”征服の対象”となるということなのでしょうか。
もっと言えば
届きそうで届かないからこその”夢”であり
ひとは到達不可能なものにこそ
惹かれる生き物かな
なんて思ってみたりもするんですね。

そして
恋も
山に似ている処があるのかもしれません・・。

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ー欧州で登山誕生の日とされているのは
14世紀のイタリア詩人で”登山の父”とも称されるペトラルカが
フランスアビニョン近郊のヴァントゥ山登頂に挑み
そのときの情景を記した友宛の書簡の日付を記念に制定されものなんですねー

テーマ:登山 - ジャンル:スポーツ

【 2012/11/15 12:18 】

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神宮外苑~絵画館通り~青山通り/246~SELAN/KIHACHI~カフェ/SHARED TERRACE
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route246
青山通り沿いに広がる
神宮外苑の銀杏並木
まもなく
この絵画館通りも
黄色に染まりますね・・
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※お仕事の合間に戴く一杯の珈琲で癒されているSELAN。
季節のトライフルがお気に入りなのですが只今改修中で
少し淋しいこの通りです。
カフェスペーラの後のシェアードテラスも素敵ですが
私はやはりセラン派(笑
12月下旬か年明けにはリニューアルオープンの予定のようです。

テーマ:四季 −秋− - ジャンル:写真

【 2012/11/14 09:53 】

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My Perfect Blue/柴咲コウ~パーフェクトブルー ~瀧本美織/平山あや/水上剣星
My Perfect Blue/柴咲コウ(←PV視聴)

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歌詞はこちらから
※パーフェクトブルー
キャスト:瀧本美織、平山あや、水上剣星、白鳥久美子(たんぽぽ)、中川大志、高橋春織、麻生かほ里、船越英一郎、根岸季衣、渡辺哲、寺脇康文、財前直見

【 2012/11/13 23:39 】

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Mountain volⅠ~ダンテ/神曲~モーセ/シナイ山~ローマ帝国/ハドリアヌス帝~アウグスティヌスの/告白~映画”劒岳 点の記”/新田次郎
レッジオの山に登ったという記述のある14世紀の作品
ダンテ”神曲”
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自然の美しさを描写した優れた文章は
多くの文筆家が残している処ですが
最初にその素晴らしさを綴った著作は
4世紀アウグスティヌスの”告白”でしょうか。
そこには、
ー人は自然の姿に感動し我をも忘れるー
といったような記述が為されていました。

ただただ
純粋に自然の眺めを楽しむためだけの登山は
そのまま”風景”の発見と呼んでいいのかもしれません。

古代の文献、聖典、伝説等には登山に関する記述は在りますが
往時の山は、崇拝の対象であり、時に神そのものであったんですよね
モーセがシナイ山で神の啓示を受けたとされるお話などその典型的なエピソードです
またハンニバルの軍が6万人の兵と37頭の象を引き連れピレネーやアルプスの山脈を越えたとされるのが第二次ポエニ戦争の時であり
要は宗教や有事、また狩猟などを目的としての登山の歴史は古くからあります。
ですが
純粋にランドスケープを楽しむための登山、”近代登山”の先駆けは
1世紀ローマ帝国ハドリアヌス帝が初めのひとり??というのも
彼が朝陽を眺めるためにエトナ山頂に登ったという文献が残されているからです。
これは取りも直さず山に登り
そのことによって精神が充たされることを目的とした登山であり
アウグスティヌスが語りかけているように
心が折れた時
美しい風景を眺めることは
その、対症療法としてはひとつ有意な方法なのかもしれませんね。

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【 2012/11/12 05:57 】

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ワインの格付け制度~フランスワイン~ボルドー/ブルゴーニュ地方~イタリアワイン/カンパーニャ/ピエモンテ/トスカーナ
街の至る所にあるバールでのエスプレッソも美味しい
”ワインの産地”ナポリの海の夕景です。
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ワインの歴史は本当に古くて
紀元前2000年には既にワインが存在(というか勝手にワインになっちゃったんじゃないかと思うんですけれど)していた模様です。
ワインとして生産され始めたのは紀元前800年頃と謂われています。
ワイン(wine)はイタリア語で vino(ヴィーノ)
フランス語では、vin(ヴァン)
現地に着いたらいちばん先に覚えたい単語のひとつかもしれません(笑

イタリアはワイン生産量世界一で世界シェアの1/4を占めています。
ワイン消費量は世界第二位。
フランスもほぼ同じくらいですから
この2ヶ国で、世界のワインの生産量、消費量の1/2を占めている計算になります。

両国ともワインの格付け制度はありまして
フランスの格付けは
最高ランクが"原産地名称統制ワイン"
Appellation d'Origine Controlee
略してA.O.C.です。
400エリア程度が指定されているようです。
EUワイン法のD.O.C.G.はこれに対抗して定められたランクですので
ほぼ同レヴェルと謂われています。
フランスでは特にボルドーとブルゴーニュ地方に
醸造所や葡萄畑単位で定めた格付け制度があったりするんですけれど
これが凄いんですね。
5大シャトーやロマネ・コンティあたりが最高クラスとされていますが
ここでは1本数万はフツー、数十万クラスも珍しくないといった印象。
一方イタリアはほぼ全域でワインが生産されてます。
北部のピエモンテ(バルベーラやバローロに使われる”ワインの王にして王のワイン”と言わしめた葡萄品種ネッビオーロはここでしか育ちません)やトスカーナ地方(カベルネ・ソーヴィニヨン原料のサッシカイア、ルーチェといった銘柄はスーペル・トスカーナと呼ばれてます)のワインは有名ですよね。
ラクリマクリスティの生産地ナポリを始めとして
ベスビオ火山、ポンペイ遺跡さらにはソレント
アマルフィ海岸、青の洞窟(カプリ島)、温泉リゾートのイスキア島などで名を馳せる
南イタリアはカンパーニャ州のワインもお勧めです。
旧アッピア街道沿い一帯に広がる葡萄畑は、
標高250-300mというヴェズヴィオ火山山麓の火山灰豊富で肥沃な土壌。
ここで栽培されたカンパーニャ州の地元品種コーダ・ディ・ウ゛ォルペ、 フィアーノ、ファランギーナの手摘みぶどうから成るワインです。
ワイン造りの伝統を築いた6世紀末の教皇グレゴリオ1世に因んだ名を冠したワイナリーもあります^^
拘りのラクリマワインですが
12時間のマセラシオン後に、冷温状態でモストをデキャンティングし
18度に温度管理し25日間発酵させ、その後ステンレスタンクで3~4ヶ月熟成したものです。
短いかなと思われるかもしれませんが
基本、果物は熟せば熟すほど糖度が高まりタンニン(渋み)は減少しますので
フランスより暖かなイタリア葡萄は熟成も早く
甘みやフルーティさは増し、渋みが抜けてくるのは必然なんですよね。
ですのでイタリアワインは寧ろ寝かせ過ぎないのが美味しく頂くコツなのかもしれません。

フランスの主要なブドウ品種ってカベルネ・ソーヴィニヨンを初めとして30種類程度なのですが
イタリアではなんと5000近い品種が・・・
ですので
イタリアワインのラベルを見ただけでは判別しづらいのがイタリアワインの難点と謂えば難点です。
基本テーブルワインですので、お値段もお手頃。外れてもビーフシチューに入れちゃえくらいな軽くノリで
ラベルのデザイン重視、週末のマーケットでの食材とワインの”パケ買い”しっかり楽しんでます♪

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【 2012/11/11 00:37 】

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MONSTERS /嵐(PV視聴/歌詞)~The MONSTERS(香取慎吾+山下智久期間限定ユニット)
嵐/Monster(←PV視聴)
歌詞はこちらから

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※ドラマMONSTERS主題歌
キャスト:香取慎吾(SMAP)/山下智久(ジャニーズ事務所)/柳原可奈子/大竹まこと/遠藤憲一

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【 2012/11/11 00:04 】

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ECB欧州中央銀行~EU17~ユーロ紙幣刷新~エウロパ/エウロペ~ティツィアーノ
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フランクフルト時事によりますと
ECB欧州中央銀行は欧州17ヵ国の共通通貨である
ユーロの紙幣デザインを刷新すると発表したようです。
で、
新紙幣の透かしにギリシア神話の”エウロペ”を取り入れるそうなんですね。
ヨーロッパの語源となったとされるギリシア・ローマ神話に登場する王女の名です。
現在は債務危機の震源となってしまっているギリシャ
若干,顰蹙な感も否めませんが欧州の文化文明発祥の地である由緒あるエリアですものね
2002年にユーロが流通し始めてからのデザイン変更は今回が初めてです。
来年5月の5ユーロ紙幣を皮切りに段階的に数年で500ユーロ紙幣まで
7種全ての紙幣デザインを変更する模様です。
デザインそのものの詳細は未だ発表になっていませんでした。
ユーロ紙幣って子供銀行券みたいで偽造対策かなと思いつつ
(実際チップに100倍払っちゃったみたいで、あまりに喜ばれたので気付いたのですが、まさかおつりとも言えず凹んだ過去ありですaha)
透かしにエウロペの肖像が浮かぶという情報はちょっと聞き捨てなりません(笑
実際に印刷されるエウロペは
フランスルーブル美術館収蔵の壺に描かれたものを採用するそうです。

※古ギリシア語エウロペは
ギリシア神話に登場するお姫様の名前であり
ローマ神話(ラテン語)ではエウロパと発音。
欧州を指すヨーロッパや木星の衛星エウロパ
その名は下記のようなお話が由来となってます。

海辺で波と戯れる
テュロスのフェニキア王の美しき娘エウロペ。
この王女に一目見て夢中になってしまったのがゼウス。
ヘルメスにこの海辺での牛の群れの散歩を命じ
自ら白い牡牛に変身します。
エウロペは侍女と花を摘んでいましたが、
通りかかった白い牡牛が
大人しいので、エウロペはなぜたり、角に花飾りをかけたりして戯れているうち
ついその背に乗ってしまいました。
すると突然その牡牛は、エーゲ海を泳ぎはじめ
エウロペをクレタ島へとさらって行ってしまったのです。
連れ去る際に、
エウロペを乗せて駆け回ったエリアが現在のヨーロッパ
というお話らしいんですね。
そして、クレタ島のゴルテュンの泉の傍らでゼウスは本来の姿に戻り、
彼女を最初の妃とします。
ふたりの間には、ミーノースやラダマンテュス、サルペードーンが生まれます。
ですが彼はエウロペに三つの贈り物を、子供たちに新しい父を与え
再び白い牛に姿を変えて星空へ上ってゆきました。
それが現在のおうし座
らしいです^^
エウロペを探しに旅に出た兄のカドモスは後のクレタ王となり
テーバイを創建した人物とされています。

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※ティツィアーノの作品”エウロパの誘拐”です。
ティツィアーノはルネサンス期に
ダンテの神曲にあった星々を従える太陽
とまで評されたヴェネツィア派の画家です。

テーマ:絵画 - ジャンル:学問・文化・芸術

【 2012/11/09 18:10 】

| 絵画/彫刻 | コメント(9) | トラックバック(0) |
紙飛行機/コブクロ (視聴/歌詞)~結婚しない~菅野美穂/天海祐希/玉木宏
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紙飛行機/コブクロ

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横浜が舞台のこのドラマ
見慣れた風景とインテリアの可愛らしさで
嵌ってます
菅野美穂ちゃん演ずる結婚できない女,田中千春の職場HISは
関内支店ではなく
東京の営業所のようでした(笑

※ドラマ 結婚しない 主題歌
キャスト:菅野美穂、天海祐希、玉木宏、福田彩乃、小市慢太郎、三吉彩花、伊藤歩、石橋凌、市毛良枝、梶芽衣子

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【 2012/11/08 21:17 】

| 音楽 | コメント(8) | トラックバック(0) |
イタリア~ラクリマ・クリスティ・デル・ヴェズヴィオ ~ビンテージ/D.O.C.G. ~ゲーテ~フランスワイン文化
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Lacryma Christi del Vesvvio

ラクリマ・クリスティ・デル・ヴェズヴィオ
ーヴェスヴィオ火山の町のキリストの涙ー
イタリアワインの銘柄です。
ビンテージはD.O.C.G.
最上位の格付けになります。
イタリアはカンパーニュ地方で生まれる
フルーティでエレガントなワインです。
一般に”ラクリマクリスティ”と呼ばれ
日本では”キリストの涙”と訳されてます。

その名の由来は・・・
ーキリストによって天国からの追放命令を受けた大天使サターン
彼は、腹いせに天国の土地の一部を持ち去ってしまいました。
ですがサターンは逃亡中に盗んだ土地をうっかり落として見失うのです。
その土地が、現在のナポリの街らしく・・。
落とされたナポリの土地の人々は互いに、蔑み合い憎み合って町人たちの心は荒んで行ったといいます。
キリストはそんなナポリの街の惨憺たる光景を目にし嘆じ、涙しました。
そしてその涙は大地に毀れ、そこから葡萄の芽が伸びて
やがてそのふどうの樹から素晴らしいワインが生まれたー
と言うラクリマクリスティ伝説。

19世紀ドイツの文豪ゲーテは
ナポリを旅し”ラクリマ・クリスティ”を飲みながら
”キリストはなぜドイツで涙を流してくれなかったのだろう”と
呟いたというエピソードがあるほど
欧州では美味しいワインということになっています。
が、そもそもゲーテの嗜好が
渋くて重厚な感じのフランスワインが苦手で甘くてフルーティなテイストが好みだったのかナ
なんて想像してみたりもする訳です。
テイスティングは
燦々と降り注ぐ陽光下の葡萄の樹から
遅摘み(完熟)の実を使用することで
薫り高くフルーティな味わいが引き出されていまして
ブドウの皮の酸味も心地よい
余韻の残る風味となってます。
色は黄金色を帯びた黄色、ボディー(アルコール度)はミディアムボディ。
サービス温度は、10℃~12℃程度。
ビアンコ-Bianco-白ワインもロッソ-Rosso-赤ワインもあります。
マルゲリータやマリナーラなどのナポリピッツァや
アンティパスト、トマトソース系のパスタやモッツァレラチーズと相性抜群です。
エビやカニなどの甲殻類、魚介類にもよく合います。

高品質志向のフランスワイン派の方には
どうかなっていうのはあるんですけれど。
実際、
政治的(時に宗教的)シーンでの主役はやはりフランスワインと相場は決まっていますよね。
熟成期間がしっかり求められるフランスワインですから
そこから導き出される厳かな雰囲気や気品
またそのブランド力には叶いません。

そもそもフランスではワインってそのまま文化ですものね。
国家体制でワインの方向性を定めている国ですから(笑
良く言えば完璧、別の見方をすれば堅苦しい!?
フランスワインアンチが以外に多いのもこんな処に理由があるのかもしれませんね。
一方
イタリアワインはと謂えば、暖かな陽の光をいっぱいに浴びた葡萄の甘味
渋みが少ない分ワイン初心者でも親しみやすいテイスト。
口に含ませるだけでふっと
楽しい気分に・・・
所謂、陰と陽で謂えば”陽”のワイン。ですよね。
イタリアワインならではの良さって此処かなと思う訳です。
出来てすぐに美味しいのでデイリーワインに最適ですし
知名度が低い分ブランド代がかかっておらず
フランスのそれと同品質のワインならばかなりリーズナブルです。
少なくともフランスワインにはない魅力はあると思ってみたりしてます。

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【 2012/11/07 19:34 】

| ヨーロッパ散歩(海外旅行) | コメント(14) | トラックバック(0) |
パリ18区/景観保存地区~酒場ラパンアジル~ユトリロ/白の時代~モンマルトルの丘~ルノワール/ロートレック
lapin ajile

こちらフランスはパリ18区
老舗のシャンソン酒場
”ラパン・アジル”
モンマルトルの丘の上、サン・ヴァンサン通りとソール通りとがクロスする角地にあります。
斜向かいには小さなぶどう畑
ひっそり息衝く漆喰の白壁
かわいらしい緑の扉に
灰色の鎧戸
石畳はと云えばきっちり20センチ角の御影石
まるで名もない片田舎のような暖かみのある風景
モンマルトルの街をこよなく愛した画家ユトリロの作品です。

(パリの街を歩いていたら水道管工事に遭遇、工事現場の方たちは
外した石畳の石の総てに番号を振って丁寧に並べていたのが印象的でした^^)

近年では観光客がメイン顧客のようなこのBarですが
かつてのこの店の壁には
無名時代のピカソやマティス、ユトリロらの絵が無造作に掛けられていたといいます。
19世紀末から20世紀初頭にかけてヨーロッパ芸術の拠点となったモンマルトルの酒場ですから
貧しき芸術家の卵たちの溜り場、憩いの場時に議論の場となっていたのも頷けます。

ユトリロの母ヴァラドンは、ルノワールやロートレックが好んで
モデルにするほど容姿端麗であったといいます。
父を知らないユトリロはそんな美しい母に強い執着をもちますが
ヴァラドンは母で在る前にひとりの女であったようです。
充たされない心を埋めるようにお酒に溺れていったユトリロ。
そして17歳の時には
既にアルコール依存と診断されます。
そんな彼が絵筆を握る切っ掛けとなったのはその治療の一環
主治医によるアドバイスにありました。
アルコールに苦しめられたユトリロでしたが
悲しきアルコールが結果的に彼を絵画の世界に導いたこともまた事実なんですね。
ユトリロは20代で、600枚を超える絵を制作しています。
”ユトリロ白の時代”です。
それは時に
哀しみを紛らわすための創作
或いは苦悩をも塗り込めた作品
であったものでしょう。
けれど
そうした憂色とは別に彼の作品から伝わってくるのは
痛いほどのモンマルトルへの愛。

ユトリロの導き出した深い白
その抒情性と憂愁
一枚の絵画が
如何に多くの物語を
愛を
想いを
湛えていることか
改めて思い知らされる作品です。

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※Montmartreは標高130㍍
ですが此処パリではいちばん高い丘。
ケーブルカーでも行けますが
222(数えました!!)の階段・・あの趣も格別です♪
一帯は歴史保存地区に指定されており
基本方針は19世紀末儘の外観を守ること。
パリにはこうした景観保存地区が随処にあります。

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【 2012/11/06 17:39 】

| ヨーロッパ散歩(海外旅行) | コメント(4) | トラックバック(0) |
モンマルトルの丘/サクレ・クール寺院/コタンの小路/階段~洗濯船/ユトリロ/ピカソ/ノディりアニ/ゴッホ/ドラン/ルノワール/ドガ/ユトリロ/ロートレック/マティス~ジェントリフィケーション~モンパルナスへ
Epuisés mais ravis
Fallait-il que l'on s'aime
Et qu'on aime la vie

111028.jpg
モンマルトルの丘に立つサクレ・クール寺院に続く
コタンの小道です。

寺院正面の石段を登るのが正攻法というか
多分多くのパリッ子や観光客の例にもれず
公園が綺麗に整備され高低差も少ないこのルート利用が王道だと・・・。
ですが、
その裏手にひっそりと佇むパサージュ・コタン。
いつ行っても意外なほど人影疎らなこの小道、
”コタンの小路”は私のパリお気に入りの場所のひとつです。
本当のパリの良さは
観光スポットやメインストリートから少し外れ気味の
こんな処にあるのだと思いながら歩みを進めます。

石畳の細い路地
古びた壁にからまる蔦やアイビー
急な階段をゆっくり登りながら往時のモンマルトルに想いを馳せます。
19世紀半ばピカソやピサロら芸術家たちは
都市化されたパリ市街地を離れ
ここモンマルトルに失われた情緒を求めて集いました。
19世紀末芸術の時代です。
”洗濯船”と呼ばれる安いアパルトマンは
芸術家たちの溜まり場でした。
ゴッホ、ドラン、ルノワール、ドガ、ユトリロ、ロートレック、
モディリアーニにマティスら画家の他にも
劇作家や小説家、さらに詩人のアポリネール
広く芸術に携わったコクトーらも交え
芸術の枠を超えて熱を帯びた議論が取り交わされていたといいます。
ナビ派などの芸術集団も此処で組まれており
モンマルトルはそのまま芸術活動の拠点であり
同時にボヘミアンの牙城でもありました。

シャルル・アズナブールの”ラ・ボエーム”は
そんな画家たちが制作に勤しんだモンマルトルでの蹉跌と夢いっぱいの若き日々へのノスタルジアに溢れています。

ーライラックの枝の先がアパルトマンの窓辺にまで届いて
   苦悩しながらも、充たされていた
      僕らは生きることを愛していたー


ですが終に此のモンマルトルもジェントリフィケーションが進み
芸術家たちの運動拠点はパリ左岸のモンパルナスに移って行きました。
ここに愛しき酔いどれのユトリロが描いた”コタン小路”があります。
当時の彼の哀しみまで優しく包み込むような
古き良き時代のパリの風景が
キャンバスにそのまま切り取られているようです。

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【 2012/11/05 07:30 】

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常套句/Mr. Children/歌詞/ 視聴~遅咲きのヒマワリ/生田斗真/真木よう子/桐谷健太/香椎由宇/柄本佑/木村文乃/国仲涼子/松重豊
こちら新緑のコタンの小道です。
120429.jpg

常套句/Mr. Children(←動画視聴)
歌詞はこちらから

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※ドラマ”遅咲きのヒマワリ”主題歌
キャスト:生田斗真/真木よう子/桐谷健太/香椎由宇/柄本佑/木村文乃/国仲涼子/松重豊

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【 2012/11/05 02:04 】

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サクレ・クール寺院~ロマネスク/ビザンティン様式/バジリカ大聖堂~パリ・コミューン~フリーメーソン/第一インターナショナル~マルクス/プロレタリア独裁
101119.jpg

華やかなパリの眺めを備えるモンマルトルの丘
此処に
ロマネスク、ビザンティン様式混交のバジリカ大聖堂が在ります。
通称サクレ・クール寺院。

フランス映画などではエッフェル塔と並んで
パリの情景を切り取ったsceneにさっくり収まってくる
美しきサクレ・クールの丘です。

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※ー普仏戦争とパリコミューンで命を落とした英華秀霊に捧げるー
としての構想から4000万フランと40年の歳月をかけ1914年に完成したものです。
ですが、当時はドイツに対する復讐の象徴的建造物と見る向きもありました。
フランス革命の後の共和政体期は極めて短く
その後も第一帝政、王政復古、(ナポレオン三世のクーデターによって成立した)第ニ帝政と君主制が続いていたフランスですがセダンの戦いで帝政は崩壊。
第三期の共和制が樹立します。しかし、まもなくプロセインに降伏したティエール国防政府に対し
それを認めないパリ市民らは蜂起、革命政府パリ・コミューン(社会主義共和国政府)を立ち上げました。
次々革新的政策が実現されてゆく中に、写実主義の画家クールベも名を連ねていたようです。
フリーメーソン会館で集会を開いたとされる第一インターナショナルの影が囁かれるうちに
最終局面”血の1週間”をむかえてしまいます。
プロシアと組んだヴェルサイユ拠点の臨時政府は、戦闘で3万という夥しい数の死者を出しパリコミューンを制圧。その上尚、生き残ったコミューン兵士は第三共和国政府軍によって一人残らず銃殺されたといいます。
世界史上初のプロレタリア革命政権でありましたが、その期間わずか72日間。
マルクスは時を空けず”フランスの内乱”と題しパリ・コミューン兵士を讃える著作を発表しています。
プロレタリア独裁という彼の革命理論は(その是非とは別に)ひとつ
尊い犠牲の上に構築されていったものであったことだけは確かなようです。

☆第一インターナショナル
1864年ロンドンで結成された国際的労働者組織
創立宣言と規約はマルクスに依ります。
マルクス・エンゲルス派とプルードン・バクーニン派との対立が表面化
1876年解散。

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【 2012/11/03 23:57 】

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スペインカスティーリャ地方クエンカ~スペイン異端審問/ナポレオン・カルリスタ戦争/ウィーン体制~サン・パブロ橋/宙吊りの家/抽象画美術館~カテドラル/ステンドグラス/メスキータ
スペインの世界の下で・・・
SH3D0759.jpg
カスティーリャ地方サン・パブロ橋からの眺めです
スペインの空の青さ・・・。

こんなに青くてだいじょうぶ?
と思ってしまうくらいに
雲ひとつない抜けるような”青”が広がっていました。

ラ・マンチャの古都クエンカ
クエンカの語源は”アラブ人の城”

フカール河とウエカル河の峡谷
断崖絶壁の丘の上に立ち並ぶ家々をして
鷹ノ巣とも形容された都。

中世の歴史的城壁都市と謂えばトレド
ですが
こちらの古都は・・。

スペイン史の流れ、例によってアラブの支配下に陥ったところ
11世紀ウクレスの騎士の活躍で奪還し
都として要塞化を試みますが、再度アラブの巻き返しにあいます。
けれど12世紀にアルフォンソ8世により再征服、メスキータの跡地に
ステンドグラスも美しい現在の姿のカテドラルが建造されたんですね
この時既に司教座が置かれています。
その後エル・サビオの“賢王”と称えられたアルフォンソ10世の時代に
“都市国家”として認められ、繊維と象牙の町として栄えます。
その後15世紀にはスペイン異端審問が始まりました。
宗教裁判とされていますが政治的色彩の濃い痛ましい制度でした。
(ドストエフスキー「カラマーゾフの兄弟」の ”大審問官”の舞台がまさに中世スペインでした)
この制度の廃止は、皮肉にもナポレオン戦争時フランスの占領下のナポレオンによるものでした。
この戦争はスペイン独立戦争と重なり終息をみますが、その後のウィーン体制の下
復古か革新かの三次に渡る王位継承戦争、世にいうカルリスタ戦争でも戦場となり
廃墟と化した哀しみの歴史を持つ都市です。

ウエカル河畔の断崖に建つ通称"宙吊りの家"は夙に有名
峡谷の大自然とのコントラストが個性的な情景を描き出しています。
内部はスペイン抽象美術館に・・・。

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【 2012/11/02 18:15 】

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イタリア~ウェルギリウス~古代ローマ/アントニウス/オクタウィアヌス/ブルートゥス~ダンテ/神曲~エイヴラム・デイヴィッドスン
夕映えのローマから・・・
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ウェルギリウス
古代ローマの偉大なる詩人です。
誤解を恐れずに言えば
ヨーロッパ文学史上最大の詩人
とも謂えるかもしれません。

ガリア地方(現在のヴィルジーリオ)のアンデスという農村に生まれ
ミラノ、ローマで天文学、医学、修辞学から弁論術に至るまで広く学び
最終的にエピクロス学派の哲学を修めた人物です。

彼の詩創作活動の時代背景をみますと
ユリウス・カエサルが暗殺され
アントニウスとオクタウィアヌスが
フィリッピの戦いでブルートゥスを破った辺り、
そんな激動の時代です。
後にその勝者オクタウィアヌスが、戦いの功績として退役軍人に農地を与えるため
イタリア随所で農地没収を始めます。
ウェルギリウスもその例に漏れず没収の憂き目にあいますが
彼の卓抜した才能から有力者の庇護を受けています。

1802年にパリで出版されたウェルギリウスの作品集。
そこに在るものは
価値基準の根底に自然を置き
自然は真実を映す鏡である
とする考え方であり
さらにその被造物を通じてあらゆる教訓を得るべきという
(現代人も今、尚強く求められている)
謙虚で真摯な姿勢です。

農耕牧畜の愛しさ、自然を慈しむ心を伝え
自然との共生を願う人間本来の立場から
透徹した眼差しでその理念を顕しています。
遥か2000年の昔、紀元前にして
日々の農作業を
農学における環境科学的観点で捉えているんですね。

遺稿として残された作品”アエネイス”には
彼の50年の人生のうちの11年間が費やされますが
未完のうちに亡くなっています。
死の直前に自身の原稿を総て焼却するよう強く望んだと伝えられていますが
皇帝アウグストゥスは、刊行を命じたそうです。
個人の意思はさておき、それは賢明な判断でした。
というのも此の”アエネイス”は
ラテン文学の最高傑作とされる一大叙事詩です。
ギルガメシュ叙事詩、神曲、ベオウルフ、ニーベルンゲンの歌、ローランの歌など
素晴らしい作品は数多く残されていますが
ラテン文学で”アエネイス”に影響されていない作品はないと
されているほどなんですね。
”アエネイス”は全12巻から構成されていますが、
(吟遊詩人のホメロスナイズされている感もありまして)
前半、主人公トロイアの王子(アエネース)がトロイア陥落後、地中海沿岸諸国を彷徨し
カルタゴの女王ディドーとの悲恋を経てイタリアに辿り着くまでを”オデュッセイア”的に
また後半、イタリアティベリス川を遡上しパラティヌスの丘にパランティウムシティ(ローマ市の前身)を建設したエウァンデルと同盟を組んで、地元の首長を破り、新しく市を誕生させる処までは”イリアス”的に描いています。

かのダンテも”神曲”において
ウェルギリウスを主人公ダンテの指導者として登場させ
彼らふたりの地獄・煉獄の軌跡を辿っていました・・。

ヨーロッパ中世には
”ウェルギリウス伝説”なるものがありまして
多くの作品でウェルギリウスがモチーフとされていました。
最近でもSF作家のエイヴラム・デイヴィッドソンが
ウェルギリウスは”魔術師”であって”詩人”ではなかったとした小説を発表し
それがシリーズ化までされているという熱狂ぶりです。

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テーマ:文明・文化&思想 - ジャンル:学問・文化・芸術

【 2012/11/01 17:34 】

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