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ラ・マンチャ~ドン・キホーテ/セルバンテス~騎士道精神/十字軍~メキシコ/アステカ~ペルー/インカ文明~シェイクスピア/ハムレット~ドストエフスキー~アリストテレス主義~新プラトン主義/ネオプラトニズム
スペインはカスティーリャ
ラ・マンチャ地方
首都マドリードを南下した
標高高めのエリア
風車だけを乗せ
なだらかな起伏に
風吹き抜ける平原が広がっています。

20120527.jpg

そんなラ・マンチャを主な舞台とした
セルバンテスの小説”ドン・キホーテ”
結え
此処はドン・キホーテが散りばめられているが如くの
静かな地方都市です。
(というかスペインがそもそもそんな感じではありますが・・)

一昨日のスペインひまわり畑に纏わる記事でこの小説に触れました処
奥深いメッセージを戴き
今日はこちらをテーマに少し綴ってみました・・。

17世紀ヨーロッパ文学論も多分に織り込まれ
最初の近代小説とも看做されるこの作品は
世界的には聖書に次いで重刻、刊行され続けられている
正真正銘のロングセラー小説なんですね。
ある調査では
史上最高の文学作品とされた経緯もあります。

正式な原題は
”英知溢れる郷士ドン・キホーテ・デ・ラ・マンチャ”
贋作すらベストセラーになってしまうほどのこの作品
恐るべし”セルバンテスの生んだドン・キホーテ”
という感じです(笑

あらすじは
騎士道物語に嵌った
アロンソ・キハーノという下級貴族が
自らを伝説の騎士と信じ(かなり思いこみ激しいキャラです)
愛馬ロシナンテにまたがり
従者サンチョ・パンサと
不正を正す旅に出かけた
その遍歴を描き出した物語です。
印象的なのは
騎士道に置換できるあらゆる出来事では
トラブルの震源になる主人公が
騎士道以外の部分では理性的で思慮深い人物であったということ。

第一義的な意味での”騎士道物語バーレスク”
セルバンテスの言葉そのままに捉えてしまえば
それまでなのですが
とかく深読みをしたくなるんです。
もっと言えば果てしなく思索の広がる作品
まさに
優れた芸術から受け取ることができる共通したそれが
確かにここにはあります。

キーワードとして
”認識の相対性”というのがまずひとつあるだろうと思うんですね。
作中にも
そして
受け手にも。

次に”メタフィクション”
1605年出版の前編に比して
1615年出版の後編は
さらに多重のそれが
施されているよう・・。

時代ととも解釈も変遷してきたこの作品ですが
”騎士道物語”が浸透しさらに偏満・・
時にそれは負側に振れた危険な精神として
熱狂的に支持され
跋扈していった史実を抜きにして
”ドン・キホーテ”の真の理解は難しいようにも思います。

そもそも騎士道精神自体が
十字軍遠征下に芽生え培われてきた精神風土であり
そこには数百年に及ぶ血で血を洗う抗争(エレサレムでの暴挙等)が在った訳です。

ユーモラスで愛おしくさえある
ドン・キホーテの狂気の裏に潜むもの・・
15世紀末からのスペイン国民の熱狂
メキシコはアステカ文明
ペルーのインカ帝国・・
掛け替えのないそれらを
次々に力の論理で滅ぼし
自国繁栄手段としたあの大航海時代の潮流。
また時を下れば
ヒトラーに熱狂した往時のドイツ国民。
さらに言えば
開戦の大義であった大量破壊兵器のなかったイラクに
劣化ウラン弾の雨を降らし星条旗に結集していったアメリカ
etc・・・

この小説自体の素晴らしさ以上に
時に読者を省察にも導いてくれる秘めた魅力を兼ね備えた作品なんですね。

また同時代に生きた
シェイクスピア作品の主人公ハムレットと
ドン・キホーテの比較研究は古くから為されてきました。
二項対立ではありませんが(笑
ここでは
イデアを重んじイミテーションを否定したプラトンの”国家”と
人文主義的で現実を直視するアリトテレスの”詩学”も想起され
ネオプラトニズム(新プラトン主義)とアリストテレス主義
といった構図からの愉しみかたも在りかな・・と。

また19世紀ドストエフスキーの
ロマン主義的解釈は有名な処ですが
古典主義、啓蒙主義
マルクス主義、資本主義
ひいては原発主義・・・
などなど受け手のスタンス、視点によっても
解釈が大きく変わってくる類まれな偉大な作品であることだけは
確かであろうかと思うんですね・・。

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ドン・キホーテをテーマにした
リヒャルト・シュトラウスの美しき交響詩や
管弦楽組曲、オペラ、バレエ音楽、交響曲
またミュージカル”ラ・マンチャの男”などに触れるにつけ
その魅力は留まるところを知らないようです・・。
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テーマ:哲学/倫理学 - ジャンル:学問・文化・芸術

【 2012/12/15 13:48 】

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