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美しきもの日本画~日本の美学/美意識その心と技法~成川美術館~最後の晩餐/テンペラ画~幽玄論~カント/ウィトゲンシュタイン/壮子
イタリアはミラノ
サンタ・マリア・デッレ・グラツィエ修道院の壁画に描かれた
レオナルド・ダ・ヴィンチの”最後の晩餐”に邂逅したあの日
正面の壁一面から立ち上ってくる
美しき緊張感は
見えない光となって私を照らし続けました
息を呑んで立ち竦んだあのとき
西洋のテンペラ画に潜在する見えざる美
その正体も掴めないままに
唯々西洋絵画に惹かれ
仕事が押せば閉館間際に滑り込むといったような
駆け足の美術館巡りを重ねて久しい頃のことでした。

油彩画からは得られない何ものかが
テンペラ画に秘められていることに気付かされ
そのフラットな印象に
日本画の趣が重なり
帰国後ふと思い立って
箱根の成川美術館に赴いたのは
それから間もない
春の日の昼下がりでした。

120401

油彩画に特有の
光沢に相俟う光と影の競演、
積層的な厚みは
日本画が湛える静謐感のもとに蔭を潜め
そのしじま
余白の美しさは
胸に深く沁み入って私を捉え
容易には作品から離れることができずにいました。

日本人が古くから育んできた美意識
西洋絵画には見出せない情趣が
息衝いているようで・・。

憂愁とはまた違った
美を基調にした静寂
その余情に美しさを見出す”幽玄論”
にも似た美的概念と申しましょうか。

描かれていないが結えに

余韻に戯れようとする自身の情感が刺激され
より深く
より強く
その作品に身を委ねることができる
その余情の在り処・・。

そして
言葉もまた
想いを越えられません
言葉で表現しカタチにしてしまった時点で
最早その心象とは別物になってしまう・・。

西のヴィトゲンシュタイン(語りうることは明瞭に語られうるが、言いえないことについては沈黙せねばならない)
東の荘子(知るものは言わず、言う者は知らず)
その論理しかりです・・。

また日本古来の美学には、

その溢れる想いを
秘めることによってのみ得られる
感懐があり

それは時に
永遠性をも感じさせる
美しい概念であります。

もののあわれを知ることこそが人がひとたる所以である
とした文学的理念もまた
中世から脈々と受け継がれてきた日本古来の美学なんですね・・。


絵画には自律性といった問題もあるものでしょう
思想にさえ寄らない純粋な芸術
ですが
宗教性や文学性
或いはイデオロギーに基づくその制作理念が
作家個人のものなればそれは他律的であるべくもなく
信じる理念に基づいて為された作品であってこその
個別の世界観であり
また
そこにある種の傾向、系統性は見出せるものでしょう。
けれどそれはあくまで二次的なものに過ぎないんですよね・・。

鎌倉時代からの
不立文字
経典を持たない禅の
その精神に学んだ
既成概念に縛られない思考プロセスは
掛け替えのない財産かと・・。


”正義はなされよ、世界が滅ぶとも”は
カントの著作”永遠平和のために”の作中に於いて
ドイツ皇帝フェルディナンドⅠ世の言葉として引用された格言でありましたが
カントの行き過ぎた形式主義に対する
シラーらの批判にも明らかなように
感性の上位に理性を置こうという社会通念の枠組みの中では
知性的認識としての論理学は、
感性的認識で以て
常に補完してゆく必要があるということかもしれません。

美的判断論や美的価値論、芸術の哲学
プラトンやアリストテレスに始まりカントやヒュームに受け継がれた
美学、包括的に論じた数えきれないほどの書物に触れても
見出せないものがあります。
また、美を論理的に検証すれば
それはそのままに美学論争に発展します。

私たちはあらゆる経験と考察の中から
各々
生(=価値観)を温めそして育みまた
それは日々成熟させてゆく類のものであとうかとも思うんですね。
ですが如何に知識の牙城を築き上げても辿りつけない高み
その先にあるものは
感性の奥底に潜む真理(美)を
真っ直ぐに見つめることのできる
凛とした心の眼差しでしょうか・・。

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日本画という言葉を真に
理解するには
日本古来の画材を用いたその伝統的技法の感得を置いて他
ないのかもしれません。
基底材に表す独自の色合いの生成へのプロセスがあり
線を中心とした構築性
表現描法といったものもありましょう・・・。
到底踏み込むことのできない領域です。
ですが
描かれた日本画に漂う
言葉に置き換えることのできない表象
を受け取める感性は、培ってゆくことが
できるように思うんですね^^

後期ヴィトゲンシュタインの考察
ーー言語の限界は世界の限界ーー
に鑑みて
ささやかにタイピングしてみました^^






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テーマ:絵画 - ジャンル:学問・文化・芸術

【 2013/01/17 21:30 】

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