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私的レ・ミゼラブル論Ⅳ~ユーゴー/シェイクスピア/サン・サンサーンス/フォーレ/ランボー/ヴェルレーヌ/萩原朔太郎/ドストエフスキー
ーー良心の被支配者となり
    弱者への奉仕者となれーー

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言葉の背後にある
弱き者を慮るユーゴーの精神性が
痛いほどに伝わってくるこのメッセージ。

フランス近代史を紐解いて明らかなように
この時代は教育不毛の時代でありました。

フランス社会の教育改革の方向性は
神の摂理に基づく教育であり
ユーゴーが理想とする”教育の自由”
即ち宗教と教育の分離とは程遠いものでした。
フランス公教育の現場でこれが叶ったのは
1880年代初頭の頃ですから
その時からさらに50年程待たねばならなかったんですね
そしてユゴーは自身の”教育の自由”提案書の実現を
見届けるようにしてこの世を去っています。

ユゴーの”文明論”は、
フランス植民地主義に通じる
との批判もなされているようですが
これは当たらないと思うんですね。
文明社会が陥りがちな排他的閉鎖性と闘い続け
貧しき者たちへの慈しみに満ちた彼の普遍的、愛の精神をみれば
それはもう自明のことですから・・・

ダンテやミケランジェロのような人々にとっての老いとは
成長すること・・・
ユーゴーが語る言葉は
いつのときも深間ですね。
学びに終わりあらば、後は老いるだけ。
それはあまりに淋しいですよね
けれど日々努力のひとで在るなら
必ずやひとつ高みに近付けるものでしょう。

シェイクスピアを敬愛し
サン・サーンスやフォーレの歌曲にもなった
自然で優しげな抒情的作品を多数生み出したユーゴーがいる一方
社会の矛盾から目を逸らさず
深淵な思想性を投影し重厚な世界観を描き出したユーゴーがいた

パリの憂鬱で知られる孤独の詩人ボードレールが
亡命中の彼に献呈した詩片を
”戦慄の創造”として絶賛したユーゴー
そしてボードレールは
ユゴー論の中で詩人ユーゴーをして
”問題を提起し、共に哀しむ,
真実を見抜き、そこから明日への希望を見出す一連の集合的魂”
と評しています。
こちら真に正鵠を射た評でありましょう。

同時代に生きた詩人に
ランボー、ヴェルレーヌらがおり
ユゴーなくば”月に吠える”はなかったと述懐した
萩原朔太郎の言葉の重みを感じます。

また現実の司法制度に懐疑的であり続け
尚も眼光炯々としたユーゴーの
政治的・社会的思想は
同時代に生き死刑囚の立場に立たされた経緯あるドストエフスキーに
多大な影響を与えたと言います
当時にしてシビリアンコントロールや
テロの本質にまで言及した社会への警鐘とその誘因要素・・
卓抜した先見性です。
さらに
人間の絶対的尊厳と無限の可能性を信じ
ひとが本来持ち合わせている愛を基盤に
社会的弱者に救いの手を差し伸べる思い遣りの心の育成
真の人間教育を目指したユーゴー

そうしたスピリチュアリティ(人間性)に魅せられ彼の美しき著作に傾倒していった
学生時代のあの夏の日
来る日も来る日も大学の図書館で彼の篇に明け暮れ
そして翌年の冬旅立った先が
ユーゴーの生きたパリの街でありました・・。

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この作品主人公ジャン・ヴァルジャンは1769年生まれ
ナポレオンとは同い年です。
さらに
彼の運命を決定づける出来事をユーゴーは
悉くナポレオンそのひとにとっての
何らかの節目の年にぶつけているんですよね・・・。

改めて
ペンは強いものだと感じています
遙かなるものそれはペンなり
永遠なるものそれはペンなり
といった処でしょうか。






















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テーマ:写真 - ジャンル:学問・文化・芸術

【 2013/03/16 13:39 】

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