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ネーデルランド~フランドル~アントワープ/ホーボケン~オレンジ公の水車小屋 ~ルーベンス/フランダースの犬/英国/ウィーダ
ネーデルランドで一番大きいゴシック教会
ブラバンドゴシックのアントワープ大聖堂
ステンドグラスを通した繊細な光に映し出される堂内は
息をのむような厳かな美しさに包まれています。

DSC_0456.jpg
16Cのスペイン支配下から19C初頭までに
フランス革命軍に破壊されるという歴史を超え
バロック様式の調度品から
ネオゴシックへと内装も変遷した
7身廊の教会なのですが

この教会には祭壇画として
この港町アントワープ出身のバロック期宗教画最高峰
ルーベンスのキリストの昇架,降架
聖母被昇天、キリストの復活の4作品が置かれています
このうちのキリストの昇架なる三連祭壇画は
此処ベルギー北部の田舎町Hobokenを舞台にした物語
”フランダースの犬”の主人公ネロが憧れ続けた絵画でありまして

というのは
物心ついた頃に母に読んで貰った童話
そこで初めて知った
ルーベンスという偉大なる画家
ですので
私の中のルーベンスは
物語のなかのルーベンスからはじまった・・・
幼少期
泣いて泣いて泣いて嵌ったルーベンスは
やはりあの頃のままのルーベンス
今でも涙が零れそうなくらいに
愛するルーベンス
なんです・・・。

画家を志す少年が
あれほどまでに・・・
一目でもいいから観たいと願った
ルーベンスの描き出した世界観

画家でありながら和平を希求し外交官として尽力し続けたルーベンス
人文主義者的素養も薫るルーベンス
熱心なパラディオ主義のルーベンス
ルネサンスの建築家であったこのパラディオ理論の
開放的な空間理念は
(文学界では)ゲーテの碩学の思想にも重なるんですね。

将来有望な少年であったネロの
ささやかな望みは
哀しくも
15年という短い生涯最後の灯が消えようとする瞬間に
叶えられる
それも
一筋の月の光に照らされて。


後に読んだ司馬遼太郎の”街道を行く”の
オランダ紀行の章では
日本とヨーロッパの価値観の違いから
現地ではこの作品はあまり評価されていないという
考察が加えられていました。
確かに
日本古来の滅びの美学に近しいプロットかとは思いますが
ここはやはり
このお話に登場するフランドル地方の民が暖かみに欠けているような
描写のあること
そして
可哀相過ぎるがゆえに許せないという感覚が
(優しすぎると)
あるのかもしれない
なんて思ってみたり・・・
この小説の原作者は英国人で
旅先で訪れたこの大聖堂のルーベンスの祭壇画と
領主オレンジ公の水車小屋にインスピレーションを得て
執筆したようなんですね・・・
実際アロアのモデルとなる少女も実在したようですし^^

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右手上方に”キリストの昇架”を控える
冒頭の写真の私の立ち位置は
冷え切ったこの大聖堂で
ネロとパトラッシュが温もりを抱きしめあって
ルーベンスの絵画を消えゆく瞳に映した場所と思われます
その
生の終わりに・・・。

ーーパトラッシュここを探してきてくれたんだね。
      いつまでも僕と一緒だって、そう言ってくれてるんだね…
       ありがとう
         パトラッシュ 僕は見たんだよ
           いちばん観たかったルーベンスの2枚の絵を。
             だから僕は今すごく幸せなんだよ
               パトラッシュ… 疲れたろ…
                僕も疲れたんだ
                  なんだかとても眠いんだ
                    パトラッシュ・・・ーー



















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テーマ:オランダ - ジャンル:海外情報

【 2013/07/12 10:24 】

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