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ギリシア神話の詩神たちへ~ヘルマンとドロテーア/ゲーテ
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9章からなる
すべてのタイトルに
ギリシア神話の詩神の名が冠されている小説
ゲーテの”ヘルマンとドロテーア”

18Cは世紀末発表の作品で
史実からインスピレーションを得て織り成された物語

背景はと謂えば
フランス革命から10年後
ナポレオンはまだ皇帝に即位してはいませんでしたが
軍事的には全権掌握という状況下
あのブリュメールのクーデターで
議会掌握な筈の演説に大失態
それはもう
命さえ危ぶまれる苦境に追い込まれていた
このあたりが本作品に設定された舞台でありました。

その最中に
ゲーテが差し出した”平和”

日々の生活を
弛まず
丁寧に積み重ねてゆくことこそ
その道程であるといういざないに
自由、平等、博愛の創造
この源泉は
市民生活を誠実に熟す
その裏打ちがあてこそだと説くんですね・・・。
”動乱と革命の時代”に
(武力による解決でない)
コミュニティーの理想をこそ
ゲーテは掲げたわけです。

そして
此処での彼の人間洞察

そのひとの人生を決定付けるもの
それは、所詮
”刹那”なのだと断じる。
(ほんっと鋭いです)

熟考は大切
けれど決心そのものは
刹那の所産に過ぎないものだと
ゲーテは見抜く。

結果、
日々、研鑽に励み、本質的分別を備えるに至った
その者だけが正鵠を得るのだ・・・と。

また
如何なる道も苦とせず
夜であっても日中と同じように考え
労働を蔑まず
雑用も面倒がらず
哀しみの中にあって光を見出し
尚、希望を強める
ひとのために生き
そこに生を感じられるような
そんな
母性的愛を礼賛してもみる。

賢者こそ何時の時も
本来の”生”に立ち戻って日々を重ね活動するとした
ゲーテの言葉
そこには
幸せ(=充実)って知性そのものなんだって
そんなふーに思わせる何かがあるんです。

そして
”経済”の重要性を唱え
後にあの太宰をして大絶賛させた作品
このバリュー
たぶん分かって戴ける方は
解って下さると
思うんですけれど・・・。



※220年以上前の
惨憺たる武力衝突の狭間に生き乍
彼の歴史を見詰める
その眼差しの奥行き
ゲーテの優しさ。

ファウストのプレリュードではありませんが
どんな状況下であっても
質の高い人間は
手探りで
在るべき姿
生きるべき指針を探求する
結え、決して
自分を見失うことはないのだ
という彼の信念。

個人的には、ゲーテのこの深い
”人間性への信頼”に魅せられました。

読後感
その心地良さは
sakiの折り紙つきです(笑














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テーマ:文明・文化&思想 - ジャンル:学問・文化・芸術

【 2014/11/08 06:55 】

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