FC2ブログ
音楽のチカラ Ⅰ~惑乱せる情熱~ベートーヴェンと文学~シェイクスピア/ゲーテ/トルストイ
DSC_0004_2016012513144843f.jpg

べートーヴェンはシェイクスピアのロマンス劇”テンペスト”に
インスピレーションを得て
ピアノソナタの17番(テンペスト)を作曲し
トルストイは、ベートーヴェンのヴァイオリンソナタ 9番
(協奏曲にも近い)このクロイツェルソナタに
感銘を受け、(音楽を通じて心が結びつくのでは・・的)短編小説
クロイツェルソナタを書き上げたんですよね。
こうした例は他にも多くありますが
こと、ベートーヴェンとなると私的には
少しその重みが違うように感じています。
(ロマン・ロランのペンに拠るところも
大きいのかもしれませんけれど)

ベートーヴェンは、
あのような健康状態にあって
次なる交響曲
10番目のシンフォニーを
さらには
”バッハの名による序曲”を
そして
ゲーテの「”ファウスト”の為の音楽」を
その構想に入れていたようです。

当初”ファウスト”は、(1807年に)”悲劇”としたタイトルで
一部発表されたものですが
そこから5年後に
ふたりはボヘミアで邂逅しているんですね。

その場では
ベートーヴェン苦難が故の所作も邪魔をしてか
会話上では
互いの芸術を認め合うような交流は
為されなかったようではありますけれど。

ですが
少なくともベートーヴェンが
シェイクスピアに向けるが如くの
崇拝をゲーテの”ファウスト”内に
見出していたことだけは確かでありましょうし
一方でゲーテの方でも
(後にメンデルスゾーンが明かしてもいますが)
ゲーテが積み上げてきた強大な知性が制御していた
彼の清澄な精神
それがベートーヴェンの音楽性によって
揺さぶられたことへの畏れが
あのような行き違いを招いた
と言ったような解釈・・・
それが
事実かどうか私には分りませんが
ただ
偉大なる音楽とは
それだけの情性を誘発するものであることだけは
確かなことと実感しておりますので
納得できないお話でもありません。

どれだけの知的牙城を構築しようと
(当にファウストの主人公自身がそうでありましたが)
高みに上り詰めたという確信など
現実にはそう得られるものでなく
何処まで行っても
真理を見きわめ切れないジレンマ
そうした苦悩からの完全なる解放とは
誠に難しいことのように思えますので
(否、それがゆえに)
偉大なる芸術(音楽)が一瞬にして
崇高なる世界観を垣間見させること
そのものへの動揺
というものが
全くない
ともやはり思えないんですね・・・。
(文学にもそれはありますが、
読み進むうちにという時間の経過
時系列でプロットを追う其れなりの経緯なくば
不可能ですし
絵画、彫刻には、それに近しいものがございますが
いずれにしても一定の知験、或いは
こちらから能動的に入り込んでゆく必要性は否めません。
しかし、音楽はゼロベースであっても
時にものの数分で
音が時間軸上を上下しながら旋律を奏でるに伴い
一瞬のサウンド、音響効果から
それが為されるにして可能な芸術であろうかと。
そしてここで降りかかる情意が
論理的に上手く説明のつかないものである上に
尚、魂を根本から揺り動かすほど
大きなエモーションとなります結え
理性に生き
論理に拘泥する人間であればあるほど
形容し難い危うさを感じてしまうというのは
分からなくもありません。
(実は、別次元の世界観となりましょうけれど)

ベートーヴェンが手掛けようとしていた音楽は
私のようなものにとりましても
とてつもなく好奇心を掻き立てられ
魅力的なもののように映りますが
少し視点を移しますと
シューベルトの未完成交響曲が示すように
(未完性を聴くたびに想うのは)
そこで終わっているそのことによって
より一層の想像力が作動し
計り知れない余韻を感受せしめているという
芸術独特の二律背反もございまして・・・
遥かなる
そうした想いを胸に
ベートーヴェンが現に残してくれた
数々の壮大な楽曲に耳を澄ますことで
尚一層の愛しみをもって
聴こえくる何ものかがあることも否定はできませんし

クラシック音楽の素晴らしさは
そうしたところにもあるように思っています。

          *

ベートーヴェンの創作活動は
聖なる芸術への献身であり
そこから生まれた作品は
苦しむ人々を救済する
或る啓示となって
今を繋いでいるんですね・・。






                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                    

                                                                                                                                                                                                               
 
スポンサーサイト



【 2016/01/26 06:01 】

| 音楽 | トラックバック(0) |
| ホーム |