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鷗外を想って Ⅸ〜バッハの調べ
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ほんとうの
ぬくもりは
凛と冷えた空気の中でこそ
深く得られるが如く

哀しみの淵にあってこそ
揺蕩うように
浮かび続ける俤があるもの

ただ
どれだけの
精神性の高さを備えれば
そうしたなかで
凛とした生き方が
叶うことでしょうか。


※大変な御家族思いでらして
その愛に報いるためだけの
望まぬ不幸な結婚
心身ともに衰弱しゆく
生活のなかでの
舞姫執筆
(こちら、丁寧に読み込めば
最後の完結文 かの人物への”恨”
その説明に過ぎない作品構成になっていること
が解ってもしまうのですが)

鷗外の心は
作品そのものでなく

舞姫を執筆せんとした
動機のなかにこそ
あったものでしょう。

それは
鷗外が終生
傍らに置いたという遺品のひとつ
モノグラム型テンプレートからも
伝わってまいります。

こちらドイツでは
花嫁が
婚礼に際し
愛するひとのために
支度するのが伝統となっている品で

自らの死期を悟った鷗外が
全て焼却させた
エリーゼとの往復書簡の束とともに
忘れ得ぬ想いの証のひとつと言えましょうか。


樋口一葉、与謝野晶子ら
当初賛否あった
無名の女流作家、歌人の
才能を認め
手を差し伸べ激賞した鷗外。

病弱の一葉には
与うる限りの優しさを注ぎ
彼女の訃報に接しては
役所から
馬に跨り軍服のまま駆け付けたといったような…

鷗外ならではの
さまざまに
奥行きのある人生は
バッハの調べが如く
憂いとの狭間故の旋律
あのシンフォニアが
あのゴールドベルクが
織り成す絢のように
例えばその第15変奏が21変奏が
そして25変奏
終章のアリアこそが…
私の胸の中で重なり
そうして
いつまでも
止むことがない音楽

そうした類の美なる空間
それが
私の“生を充たして”くれた
鷗外文学であります。

余談ですが

作中人物に
恋心にも似た感情を
抱いたのは
後にも先にも
彼の作品をおいて
他にありませんでした。





























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テーマ:つぶやき - ジャンル:日記

【 2016/07/24 14:23 】

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