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Better Half~ギリシア神話~饗宴/プラトン~理知の視力が眠る場所
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理想のパートナーをして
Better Halfなんて謂うちょとkitschな表現ありますけれど
こちら
かつて文学、芸術などの分野で数多く引用されてきた
androgynous伝説に拠るものなんですね。

印象的だったのは、プラトンの”饗宴”
舞台は、美貌の劇作家アガトンが詩劇コンクールで優勝した
その受賞記念祝賀パーティでありまして
此処で、恋心を司るギリシア神Ἔρως賛美をテーマに
シュンポシオン列席者(詩人、医師)たちが、ワイン片手に
順に持論を披露してゆくという流れになり・・
(よってこの著作サブタイトルはー愛についてーであります)

美しきものを愛する性質を持つがゆえ
花のようなしなやかさを保つ愛の神エロスは
優美な佇まいの内に公正さと自制心をも備え
ひとたび彼女が手を翳した芸術作品は
みな精彩を帯び耀ける・・・といった
主宰者アガトンのエロス賛美も然ること乍

或る講話では
古代人アンドロギュノスが
オリュンポス12神々の王ゼウスによって
2つに切り離された伝説が展開され
そのお話が如何にも
愛の有り様を象徴しているようで興味深くもありました。

由来はもちろんギリシア神話です。
こちら
神々に戦いを挑もうとした人間が
全知全能の神ゼウスの逆鱗に触れ
その能力のブレークダウンを狙い
ふたつに割かれた結果
人間は無力な生き物になってしまったという
(半ば現実に叶った)エピソードであります。

此処で神話の世界に戯れるなら
本来は”ふたりでひとつ”であったはずの人間が
(男女に)切り離されれば
なんとかもとの完璧な姿に戻りたいと
見付かるまでその片割を一生かけて探し彷徨う
という心理設定が成り立つわけで
此方には妙に納得がゆきもします(笑

そして
そうしたその相互の求め合いを
私たちは”愛”と呼んでおり
この愛をして
”ひとが人間本来の姿に戻ろうとする衝動”と捉える
この神話は、紀元遥か前の
”恋愛の原型”とも謂える挿話でございますが
そこから2千数百年の歳月を越えて尚
深層において愛せるひとを求める感覚は
変わらないものだと
その普遍性を思わずにはいられません。

自分に力を、
そして
自信を与えてくれて
尚、足りない部分を補ってくれる
世界にたったひとりしかいない筈の
自分が自分らしくあるために欠くことの出来ない
(切り離された)もう一人の自分に出会えれば
本来あるべき姿(強い人間)
に戻ることができる。

自分がより良くなれる、もうひとり(半身)のひと
掛け替えのないというより
欠け代えのない対象

(本当の愛とは
あくまで精神の域に於いて
高め合える関係性platonic loveを
文脈にもつ饗宴でありますが)
最上級でないのは
相手をして、自分よりも良い相手
という意味合いを込め
互いへの尊敬を示唆するための
better(比較級)であり
(諸説あるようですけれど)
いずれに致しましても
そのbetter halfとの出逢いによって
ひとは、全体性が回復され
癒しを得ることが出来るという
論理性をも備えた伝説でありました。

確かに
恋愛のさなかにありますと
ふたり心通じ合う感覚と申しますか
自分と相手の垣根が取り払われると申しますか
ふたりの間では没我(無私無欲)的に成り得ると申しますか
所謂、自己からの解放
相手の存在そのものが
究極の癒しに取って代わる状況が
生まれ来る訳ですが
その感覚を齎すものが
まさに”better half”
ということにもなりましょう。

離れ難い存在
離れていても癒される存在
不思議なほどこころ通う存在
常に一緒にいたいと願う存在
そうした感覚を覚える”better half”を
探し求め彷徨うのは、
善きものを所有すれば
幸せになるというギリシア哲学とも矛盾しません。

ですが
そう確信できたとしても
事情があって
結ばれないケースということも
あるんだろうとは思うんですね。

そう致しますと
ひとは本来あるべき(完全な)姿を取り戻すために恋を求める
のであり
生きることは
もう片方の自分探しの旅と
云えなくもありません。

そのたったひとりのひととの
結びつきによって
初めて自己完成が図れるのだとしたら
魂の伴侶と呼んで差し支えないものでしょうから。













※better half の原義は
better(より多い)との意から
自分の存在の大半を占めるほど親しいひと
といった説もあります。

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【 2016/02/16 00:34 】

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