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スペインアルハンブラ宮殿Ⅲ~アラヤネスのパティオ /ライオン~イスラム美術/アラベスク/ムカルナス装飾/コマレスの塔~ハーレムへ
裁きの門
アルハンブラ宮殿で最初に潜る門です。
イスラム統治時代にこちらで裁判が行われたことにその名の由来がありますが
実はこの裁きの門は、数多くのモーロ伝説が纏わりついている伝説の門でありまして
門上部の馬蹄型アーチのアラブ要石に、「手」と「鍵」のレリーフが施され
それぞれマホメットの教えのエンブレム、信仰の鍵を表しています。
鍵はそもそもキリスト教徒の十字架に相対するものとしてイスラムの戦旗に
紋章として表したのが始まりとされています。

SH3D0324.jpg

アルハンブラ宮殿にみる
イスラム美術と謂えば
コーベル構造を装飾するムカルナス。
エジプトのフスタート、そしてイランのニーシャープール等から
発掘されている東方起源の美術様式です。
このムカルナス装飾は、アルハンブラ宮殿の他にもイラクバグダッドの
Abbasid Palaceやエジプトのカイロ、スルターンにも現存します。

偶像崇拝禁止のイスラムでは、モスクに礼拝する折に
どこに向いていて祈りを捧げるか
ということに為ってくる訳でして。
それが”カアバの方向”
こちらが礼拝堂正面の壁に相当するようにモスクは設計されるているんですね
キブラと呼ばれるこの壁の 核とされるもの
それがミフラーブです。
よって、このミフラーブには否が応でも気合が入ってくる
ということです。

こうした経緯からイスラムでは、幾何学模様と文字装飾に力を注ぎ
美しいアラベスクやカリグラフィーがイスラム建築を彩ることとなったんですね。

アラベスクとは(時に動植物をモチーフにした)反復の幾何学的文様のことですが
このアラベスクには、美術と科学の二面性があるされています。
これはとりもなおさず、それほどに数学的正確さを兼ね備えたデザインであるということでありまして
その原型はユークリッド幾何学であり、
ピタゴラスが体系化した三角法の基礎でありました。
また、その整形、配列はイスラム的世界観に基づき構成されているようで
アラベスク芸術家たちは
可視的物質世界を超越させるかのようなこの無限パターンに
キリスト教美術のイコンにも匹敵する”精神性”を与えているといいます。

その精神性とは、極めて哲学的で
未だ見ぬ”永遠なる完全な存在”
プラトンのイデア論に近しくもあるような概念とも受け取れます。

厳かな宗教観に根差したこの精緻な幾何学模様 に
モザイクタイルで縁取られた壁の透かし彫りの窓から入る光と影が織りなす空間
彫刻が施されたアラベスク模様の壁・・・
そしてその全てにアラビア語で記されていた言葉はー神のみぞ勝利者であるー

中央ヨーロッパの国々、キリスト教圏 に見る
(例えばベルサイユ宮殿が象徴するような)絢爛豪華さとは全く異質のもの
それがこのアルハンブラ宮殿の美しさと謂えるのかもしれません。
権威主義的、富のシンボルたる装飾からは決して伝わってはこないもの
一定のストイックさを含んだ繊細で控えめな何ものかがが潜んでいるように感じ取れます。

こうしたアルハンブラ宮殿
そのメイン王宮はアルハンブラの丘の北側。
そこはレース模様を想起させる繊細なアラベスク装飾に埋め尽くされ
豊かな水と緑を施したパティオを中心に歴代21人の王の執務室があったというパティオ ・デ ・ロス ・アラヤネスと呼ばれる場。
また一方はハーレムが展開されたパティオ ・デ ・ロス ・レオネス
この2つのバーグを軸とした構成になっています

前者はアラヤネスの香り立つ”アラヤネスのパティオ ”
王謁見の場でありました。
写真のように大理石の柱とアーチの回廊
”大使の間”を置く、コマレスの塔全景を水に映す出すという
計算され尽くした建築美学が息衝くエリアです。
続いて、罪人たちが裁かれ過酷な刑罰が科されたという”メスアールの間”に
美しいフォルムの小窓からのアルバイシン地区の景観も素晴らしい”メスアールの祈祷室 ”。

後者は、プラーベートエリア。
言ってみればハーレムが形成されていた場ですね。
”閉ざされた楽園”と呼ばる所以はここにあるんですよね。
こちらは、ライオンのパティオと呼ばれ、メスキータの石柱群的美観にも似た大理石の柱の連なりから見るチャハルバーグは 、幾何学模様から成る四分庭園です。
イスラム庭園のプロトタイプでもあるこの庭園には
彩釉タイル装飾、天井アーチの植物紋様スタッコ柄が優美に佇みます。
12頭のライオンが雪花石膏の水盤を支え、
かつては、その時刻と同じ数のライオンの口から、シエラネバダの雪解け水を湧き出させるという水時計の役割も兼ねていたようです。
この中庭を中心に、
細密なモカラベからなる八角形の天井に天窓から差し込む光の反射 も美しい”二姉妹の間”

120522_0016~01

さらに
数千という寄木細工で装飾された星形天井の”アベンセラへスの間”が並びます。
此処は
遠き彼方の王の命により、名家アベンセラへス家の騎士36人が誤解も解けぬ間に処刑されるという悲劇的結末を見届けた部屋でありました。

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【 2012/10/05 20:29 】

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