大理石が秘める真なる藝術 彫刻家は、それを彫り出すだけ そんな言葉を残したミケランジェロ。 石の中に浮かび上がるフォルムを見出し 色のない大理石に色彩をも 纏わせる まさに、石のヴィザード 否、光だ、 光のヴィザード。 システィーナ礼拝堂の天井画でさえ 最早、絵画ではなかった あれはreliefだ 遥かなる彫刻の域。 カーサブナオローティ美術館収蔵の 若き日のミケランジェロの手による “階段の聖母”から かのユリウス二世廟を経て 遺作となった未完の作。 その朧げな目 覚束ない手 それでも彫り続けた “ロンダニーニのピエタ”が纏う 底知れないあの深みはなんだろう。 しかし、 ミケランジェロ その人が 唯一、自身の名を刻んだ作は たった1つだけだったという。 それは、 息を引き取ったばかりの 温もりさえ消え残る我が子を抱き 哀しみに暮れる 聖母マリアの佇まいから立ち昇る壮絶な感情 それが、息を呑むほどの美しさに 昇華された作品 サン・ピエトロのピエタ。 癒し難いリズムの差異の先にあるもの 奇跡としか形容の仕様がない 永遠性 至高なる美・・・。
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