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ポルトガル/リスボン~サザンオールスターズ/SAUDADE~真冬の蜃気楼~リスボンの春/カーネーション革命~コーポラティズム/イベリズモ思想~カモンイス賞
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ポルトガルとブラジルの文化融合を象徴する言葉に”Saudade”があります。
サウダーヂあるいはサウダージ
ガリシア語ではサウダーデとも表記するようですが
過去、多くのアーティストがテーマにしている言葉でもあります。
音楽ではポルノグラフィティや高中正義さんらが、
映画界では富田克也監督の”サウダーヂ
文学では新田次郎さんの未完の小説”孤愁/サウダーデ”に三島由紀夫賞候補にもなった盛田隆二作品、さらに垣根涼介さんも小説の タイトルになさってます。
解釈は様々ですが
特に象徴的に扱われていたのが
サザンオールスターズの名曲"SAUDADE~真冬の蜃気楼"でした。

ーーバスを待つターミナル 霧雨のウルカ
最果ての空に誰がいる?
海鳴りの聞こえるホテルの小部屋で
激しい愛に抱かれたい

コルコバードの丘に立ち
茜色の空模様

人はどうしてあてもなく
過去への扉を叩いて生きるの?
今はこうして追いすがる
風立つ真冬の蜃気楼

待ちわびたカーニバル
物憂げな夜は
打ち寄せる波が騒いでる
国際電話が最後のお別れ
冷たい膝を抱き寄せた

イエマンジャの歌が好き
海に宿る女神の
都会じゃ癒えない
旅情の音を静かに聴かせて

人はどうして絶え間なく
今来た旅路を振り向くものだろう
ゆめがどうにか叶うなら
アフォシェの魔法で逢いましょうーー


桑田さんのこの歌詞と哀愁のあるメロディー
ポルトガル&ブラジル文化融合の世界観
”Saudade”のもつ独特の雰囲気をよく捉えていると思います。
サウダージ・・・日本語の語感から謂えば
追憶、追慕、憂愁、寂寥、ノルタルジア、メランコリー、思慕、切なさ、アンニュイ、懐旧、望郷・・・
いろいろ浮かびますがいずれも似て非なるものがありしっくり来るものがありません。
このニュアンスは、ポルトガル語圏のそれか
ガリシア語圏の”morriña”こちらモリーニャと読みますが
このモリーニャでしか説明がつかない複雑な感情を表しているというか・・。

もっと謂えば、
手の届かないもの
叶わないと解っているのにそれでも追い求めてしまう
追いすがってしまう想い
時は流れ去り二度と同じ瞬間を経験することはできません
けれどそんな自然の摂理に
その、不可抗力に少し抗ってみたくなる
そういったジレンマの中での感情表現といいますか・・・。
ボサノヴァの中核を成している感覚といって良いかと思います。
ポルトガル語圏の民俗歌謡Fadoの流れをも汲むこの溢れるような想い
人生において最も大切にしたい感情のひとつと感じています。

彼らはこのサウダーデにアイデンティティを感じている
もっと言えば、拠り所としている印象さえあり
そこのところとても共感します。

"プラハの春"ならぬ"リスボンの春"
ヨーロッパ史上最長とも謂われる48年の独裁体制を終わらせた
ポルトガルの軍事クーデターのことですが
1974年に彼らはこれを殆ど無血で収束させているんですね。
ポルトガルの穏やかな国民性を象徴するようなこの”カーネーション革命”は
カーネーションが革命のシンボルとなったことから
このように呼ばれてます。
写真は、その当時、反戦歌としてポルトガルの国民に愛された歌”グランドラ、ビラ・モレーナ”
その歌声も響いてきそうなほど陽の光が燦々と降り注ぐポルトガルの首都リスボンの街並みです。

※ポルトガル共和国~Republica Portuguesa
日本では葡萄牙とも表記されたりしますよね。
ヨーロッパ最西端にあたるイベリア半島の共和制国家ですが
大航海時代の先駆けとなり
エンリケ航海王子、ヴァスコ・ダ・ガマらの活躍で黄金期を築き
世界各国に於いて圧倒的な植民地政策を展開した国でもありました。
ヨーロッパ諸国の中で最初に日本の土を踏んだのもポルトガル人です。
スペイン、ハプスブルク朝支配を経た後
ポルトガル王政復古戦争により独立したのも束の間、今度はフランス革命戦争、ナポレオン戦争
そしてポルトガル内戦が始まりました。
幻の「バラ色地図」構想を挿みながら、国内的にはファシズムよりもコーポラティズムを重視した
サラザールの賢明さで第二次世界大戦を中立政策で乗り切った後には
主要産業の国有化など左傾化も見られましたが
スペインとの統一を理想とするイベリズモ思想も未だ根強く残っています。

植民地政策の名残から、ブラジルを初め、ベネスエラ、アルゼンチン、ウルグアイなどラテンアメリカ諸国の他
モザンピーク、アフリカ南部などにも多くのポルトガル人が移住してます。
言語が通じやすいというのは可なりの強みということでしょうか。
そうした経緯から冒頭の”Saudade”が生まれて来たんんですね・・・きっと。
そしてフェルナンド・ペソアは、”ポルトガルの海”の詩集を織り成しました。
また此の地は、かのルイス・デ・カモンイス(ウズ・ルジアダス)生んだ土地です。
最近ではノーベル文学賞作家ジョゼ・サラマーゴの代表作”白の闇”を
ブラジルのフェルナンド・メイレリスが映画化した”ブラインドネス”は、記憶に新しい処でしょうか。
主演は、ジュリアン・ムーア、伊勢谷友介さんや木村佳乃さんも出演されてました。

もともと中世トゥルバドゥールの中世叙事詩から始まったこの国の文学は
ポルトガルロマン主義の祖である、このカモンイスが灯したポルトガル文学の流れを汲んで
”破滅の恋”のカミーロ・カステロ・ブランコに至るまで脈々と受け継がれて来ているようです。
こちら どうでしょう、かなりドロドロの恋愛小説になってましたけれど(笑
ポルトガル語圏の優れた作家に対して贈られる、ポルトガル、ブラジル両政府共同の”カモンイス賞”
こうした賞も、植民地政策の名残には違いないのでしょう・・・。

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テーマ:ポルトガル - ジャンル:海外情報

【 2012/08/31 17:13 】

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コメント
--- アノニマス・ガーデンさま ---

はじめまして
コメントありがとうございます♪
>コルコバード,WAVE~,アイルトン・セナ,イモラ・サーキットのタンブレロ・コーナー,イパネマの娘・・
深いkey wordが、アノニマス・ガーデンさまの想像力豊かな文章に乗ってココロの琴線に響いてきます。いつも乍、豊かな文章力をお持ちの独特の世界観に引き込まれてしまいそうです。

エストリル・・
詳しくはいつの日かブログに書きたいと思っていますが、この地で忘れることができない出逢いがありました・・・。秘めた想いに耐えるようにうつむき加減に咲く冬の華クリスマスローズに心重ねてのブログタイトルでした。ブラジルには行ったことがありませんが、リオデジャネイロのコルコバードの丘、イパネバ海岸を歩いてみたいです。そしてセナの出生の地サンパウロにも。モルンビー墓地においしい水を供えたい。けれどイモラ・サーキットは多分一生無理そうです。辛くて・・・私は結構、弱虫かもしれません(笑

>「Saudade と Fado がわからなければヴィーニョ・ド・ポルトを飲んでもマディラを浴びても酔うことはできない。ジョビムの波にだって乗れない」
ボサノヴァもお詳しいのですね・・感服です。酔わされました・・(笑

> いつか「コンベルソ」にまつわることなどお書きいただけたらと思っております。
ありがとうございます。嬉しいリクエストです♪
けれど、拙いブログ主の私と違いましてアノニマス・ガーデンさまは博識でいらっしゃるので、こちらが期待してしまいます♪♪

saki * URL [編集] 【 2012/09/02 01:51 】
--- 午睡後、コルコバード星の散歩の途中、WAVEで産婆ノートを買い、アイルトン・セナ・ダ・シルバが眠るイモラ・サーキットのタンブレロ・コーナーにおいしい水を供えにイパネマの娘と思った矢先の出来事だった。 ---

エストリルのクリスマスローズさん、初めまして(互いにすでに訪問し合ってはおりましたが)。毎回、感心するやら羨ましいやらという複雑な思いで拝見しております。「エストリル」の文字を見たときに物凄い勢いでドキッとしまして、というのも私にとってエストリルといえばサーキット、それもアイルトン・セナがF1GPで初優勝した忘れがたいサーキットだからでした。セナの衝撃の死からいまだに立ち直れていないほどの「セナ・フリーク」なんですよ、私。そんなこんなで以後もどうぞよろしくお願いします。

(したたかきわまりもないカスティーリャ人に地中海貿易上の海洋のおいしいところをごっそり持っていかれて、ひっそりと遠慮がちに生きているポルトゥゲーゼの人々。「Saudade と Fado がわからなければヴィーニョ・ド・ポルトを飲んでもマディラを浴びても酔うことはできない。ジョビムの波にだって乗れない」といつかどこかで言ってみたいものです。アマリア・ロドリゲス&アントニオ・カルロス・ジョビムを交互にBGMに)

*いつか「コンベルソ」にまつわることなどお書きいただけたらと思っております。樽犬
ディオゲネスの犬 * URL [編集] 【 2012/09/01 21:57 】
--- モックンモーガンフィールドウタコトバさま ---

モックンモーガンフィールドウタコトバさま
コメント、リンクを戴きありがとうございます♪
モックンモーガンフィールドウタコトバさまのブログは素敵な音楽がたくさんで
この記事でテーマにしたSaudade感溢れる楽曲も多くこちらもリンクさせて戴こうと思っています♪
横浜プリンスホテルにいらっしゃったんですね。地元では磯子プリンスと呼ばれ、都心にはあまりない大空間ロビーからの癒しの場として、打ち合わせや午後のティータイムなどお気に入りのホテルでした。
我が家のテラスからもトゥワイライトタイムには、オレンジ色に染まるあのラウンド型フォルムへの夕映えをよく眺めたものでした。
今ではマンションに変ってしまいましたが、メッセージに触れ、
ふと懐かしく思い出させて戴きありがとうございます♪

saki * URL [編集] 【 2012/09/01 17:01 】
--- ありがとうございます。 ---

訪問・コメントありがとうございます。
子供の頃からずっと好きだった歌を思い出しながらかきあつめています。
横浜といえば、仕事で一度プリンスホテルへ行ったことがありますが、坂を車で上りながら、なんて素敵な風景か、神戸をさらにスケールアップした光景だと感動した覚えがあります。
素敵な写真ばかりですね。リンク組ませていただきました。
モックンモーガンフィールドウタコトバ * URL [編集] 【 2012/09/01 03:04 】
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