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暮らしに舞い降りる耀き Ⅰ~ゲーテ/色彩論~ウィトゲンシュタイン/色彩の論理学/現象学~ニュートン/スペクトル分析
ーー色彩は光の行為であり, 受苦であるーー



ゲーテが語る色彩からは
”光”の息吹
”自然の声”が
聴こえてくるよう・・・。

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色彩は(単なる主観でも単なる客観でもなく)
人間感覚と自然光との共同作業によって
生成されると考え
客観的自然探求だけでは本質には近付けないとする
ピュアな自然観を綴ったゲーテの色彩論。

19世紀初頭
ゲーテが著したこの書物には
色彩が
光と翳その相互作用によって
齎されるものといった
極めてロマン主義的な見解が
示されています。

こちら実は、
今日私たちが知る
ニュートンのスペクトル分析に反するもの
ですが
その後シェリングや
ヘーゲルまでもが
それを支持した理由とは・・・。



この原理の是非は
物理・化学的には明白。
ですが
”生理的色彩”というカテゴリ
もっと云えば
心理的色彩学といったような視点から眺むるなら
ゲーテの色彩論は
”色彩の科学”を必ずしも
裏切るものでもないように思うんですね。

ニュートンにとってのそれは
まさに理念化された色彩現象であり
屈折率を伴う
数量化された光線であります。
一方ゲーテはといえば
私たちを取り巻く
ありとあらゆる対象のなかに溢れ反射するそれを
色彩知覚で構造化した
光の”質”への言及(美しき詩)でありました。

そう
”光線に色彩なし”とし
主観を排した科学的立場を貫く
ニュートンのテーゼ
そして
自然のなかで私たちが受け止めるのは
不可分としか感じ得ない
光と色彩の関係性で
そこに重きを於き
自然の総体から光を捉えたゲーテの立場。

波長で説明するニュートンの精緻性に対し
陰影としての色彩を強調する
(経験主義の礎アリストテレスからの自然学的)ゲーテの色彩環を
非科学的の一言で片付けることをしなかったのが
中期のウィトゲンシュタイン
”色彩の論理学”でした。

彼は、上記に象徴される
”ゲーテ命題”をして
色彩現象が本質的に内包するその関係性と捉え
後の論理実証主義者にとってのバイブル的書物”論理哲学論考”による
(ここ、物理的事物を感覚与件からの論理的構成物であると定義していた
論理実証論の変遷もよく伝わってもまいります)
”外的関係”ならぬ”内的関係”に準拠してくるという考察を加えた訳です。

個々の命題は独立するものでなく
相互に連関し論理的体系を築くことによってのみ
意味性が生じてくるという
論理的原子論(要素命題の論理的結合によって,複合命題が成立する)
ー彼の立場とは異なりますが、人間の認識と思考作用の構造を考究する現象学
(世界を知覚現象の束として説明する)ー
といった哲学上の方法論を
物理学の理論構築のひとつの語法として扱うようなこのスタンスは
敢えて言葉にすれば、観念論的
そして独我論、実在論、自然科学の掲げる法則とは
対極、次元の異なった解析方法ではあったのですが・・・。

後期になってウィトゲンシュタインは
そのスタンスを変えてはゆきましたがそれでも
ゲーテが唱えた”色彩の論理”を科学的誤りと切り捨てることをしません
生活空間の中で知覚者が受け止める色彩に潜むある課題
それが科学的論拠だけですんなり理解できるほど
単一的なものではないと考えたからなんですね。
”色彩の多次元性を明らかにすること”
そのものの重要性を鑑みるウィトゲンシュタインの眼差しの柔らかさに
惹かれてしまうのですが(笑

ゲーテが色彩を外的物理的現象と捉えず
あのように人間の内的現象であるとしたことは取りも直さず、
分析的数式でなく、私たち人間が色彩を見る能力
所謂”洞察の閃光”から知識を獲得してゆこうとする
人間の能力そのものを信じるということであり
科学的解決に終結させ
そこで思考停止に陥らない姿勢
と申しますか
極めて人間的に過ぎるその精神性が
科学至上主義的現代に生きる私の感性に響くんですね・・・。

ゲーテの時代背景を鑑みるに
啓蒙思想が支配的であったあの”教条”への反動があり
科学におけるロマン主義的思考への運動
その只中
この潮流はやがて
英国、ドイツから興隆した
厳密な過程を用いた実証主義へと移って行くのですが
その狭間に生きた
ロマン主義的科学は
人間と自然
その一体化の追求であり
調和の理想であったようにも受け止めています。
それを一絡げに・・・西ヨーロッパ限定の一時代のムーブメント
過ぎ去りしものとして忘れ去ってしまって良いものかどうか・・・。

(還元主義でなく)
広い意味での科学研究を隆盛させてきた
冷徹で精緻なアプローチ
そこには
演繹的な推論を通じた理性的思考段階があり
同時に
自然哲学の数学化への強調もありました。
ですが
自然との共存には及ばず
時に自然を支配しようとさえするかのような試みには胸が痛みます。

社会の中で各々が担うべき責務を考え
制御出来る筈のない自然を
あくまでそれを尊重すべく姿勢を
貫き続けなければならないのは明白で
それ失くば科学は道を誤るとした
ゲーテらの慎重にも透徹した見識は
ここにきて大きく意味を擡げてくるようにも感じるんです。

現代に生きる私たちが
科学に殉ずることで
ともすれば失いがちな
かけがえのない”自然観”を
私たちはしっかりと受け継いで行きたいと・・

そんなことを想った
”光の午後”でありました。

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テーマ:読書メモ - ジャンル:学問・文化・芸術

【 2014/10/25 19:39 】

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